センシンロボティクス、総務省消防庁職員向けに「ドローン運用アドバイザー」研修を実施

ドローンなどのロボティクス技術と先進技術を組み合わせた業務用ソリューション事業を展開するセンシンロボティクス(本社:東京都渋谷区、以下「同社」)と総務省消防庁は、2020年1月29日(水)から31日(金)の3日間、福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)において、災害現場におけるドローン運用のスペシャリストである「ドローン運用アドバイザー」の育成研修を実施しました。

近年注目される「ドローン×災害・救助」

昨今、災害現場におけるドローンの有用性が認められつつあります。
以前当メディアでも、災害によって孤立した病院へドローンが物資を輸送することを想定した実験の模様や、自治体が災害時におけるドローン活用を想定した実験を行っている模様等をお伝えしました。
ドローンが優れているのは、何と言っても「人間が直接行かれないような場所でも赴くことができる」点。がれきで道路が塞がれて孤立してしまった地域、火災現場や噴煙上がる火山といった場所でも、文字通りすぐに「飛んでいく」ことが可能です。
ドローンが出動せざるを得ないこのような機会が発生しないことを祈るばかりではありますが、自然災害がもともと多い日本では、ドローンの応用範囲として「災害・救助」の領域が非常に注目されています。

災害現場を想定した環境で、カメラ操作を含むドローン操縦訓練を実施

今回、総務省消防庁が実施した育成研修は、ドローンを導入していない消防本部で指導にあたるスペシャリストを養成する目的で実施され、今回が第一回目の開催となりました。
受講生は全国から集まった消防職員計15名。研修は福島ロボットテストフィールド(以下「同フィールド」)で行われ、初日が屋内における基本的なドローン操縦訓練。2日目・3日目は同フィールド内における災害環境を再現したエリアにおいて、実際の災害現場を想定したドローンによる捜索訓練、というメニューでした。
同社の社員らが講師を務める中、受講した消防職員たちは、GPSがない環境を想定した操縦や、次のようなカメラ操作の訓練等を行いました。

  • 可視光カメラ・赤外線カメラを用いた要救助者の位置特定
    がれきの下敷きになり目視では確認できない被災者を、可視光カメラや赤外線カメラを用いて上空から探索・場所特定する訓練です。
  • ズームカメラを正確に動かすことによる対象物の確実な撮影
    訓練用能力レーンのバケツの中身をカメラの画角に収まるように写したり、ズーム機能を使って対象物を鮮明に撮影したりする訓練です。
    ちなみにこちらのバケツは、米国の標準化機関であるNIST(National Institute of Standards and Technology)が策定した「STM for SUAS(※1)」にもとづくもの。ホームセンター等で簡単に入手できる材料を使って、個人単位でも訓練ができることを目指したという、NISTらしさが感じられる手法です。

※1 STM for sUAS:Standard Test Method for Small Unmanned AIrcraft Systemsの略。ドローン操縦者技能評価方法等と訳される。

消防防災分野におけるドローンの有効活用をめざして

今回の3日間の研修を修了した消防職員15名は「ドローン運用アドバイザー」に認定されました。
総務省消防庁によれば、令和元年6月時点で、全国726の消防本部のうち201本部がドローンを導入している一方で、活用実績があるのは139本部にとどまっている状況とのこと。また現時点でドローン未保有の本部でも、525本部中66本部が導入を予定しているとのことです。
総務省消防庁では、2023年度までにこのドローン運用アドバイザーを合計135人育成し、ドローンを導入していない消防本部を対象に講師役として派遣する考えです。