DJI「Mavic Mini」発売。高性能カメラを備えた驚きのトイドローンをレビュー!

2019年10月31日、DJIが発表した「Mavic Mini」。当メディアでもそのニュースをお伝えしましたが、こちらのMavic Miniを幸運にも入手することができましたので、今回はこちらの機体のレビューをお送りします。
筆者の体験に加え、同じくMavic Miniを入手・操縦できた筆者のドローン仲間のコメントも交えながら、Mavic Miniの魅力に迫りたいと思います。

トイドローンのイメージを覆す高性能な機体

こちらのMavic Mini、発表と同時にドローン好きな人たちをかなり騒がせたのですが、なぜ話題になったかと言えば、「DJIが初めて自社ブランドで出したトイドローン」であること、また「トイドローンでありながら、本格的な高品質カメラを備えている」から、ではないでしょうか。
日本では、国土交通省が管轄する「航空法」に基づき、ドローンの「機体の重さ」によって扱われ方が変わります。航空法では、機体の重さが200グラム以上のものを「無人航空機」、200グラム未満のものを「模型航空機」と呼んでおり、200グラム以上の無人航空機には飛行可能区域の制限をはじめとする各種の制約がかかります。一方、200グラム未満の模型航空機(=通称「トイドローン」)は、基本的にこれらの制約を受けない(※詳細後述)ため、人口密集地でも飛行が可能です。
このたび発売されたMavic Miniは、機体重量がわずか199gのトイドローンですので、大都市圏などの人口密集地でも飛行が可能、ということになります。
またDJI社発表によれば、Mavic Miniのカメラは3軸ジンバル搭載で2.7K対応、最長飛行可能時間18分、HD動画の最大伝送距離2kmとのこと。「トイドローン=部屋の中で飛ばすお楽しみ機体」というイメージを完全に覆された感じです。

軽量なわりに大きな機体!DJIはかなり本気?

筆者の自宅に届いたのは、機体とプロポ(コントローラー)がパッケージされたスタンダードパック。
箱を開けた第一印象は、「わ!意外と大きい」でした。まさにMavicシリーズのミニチュア版といったビジュアル。トイドローンと言うとやはりTelloやmanboといった小型のものを見慣れているからなのでしょうが、折りたたまれた状態であっても、機体がかなり大きい感じを受けました。
ところが、手に載せるとこれがなんとも軽い。察するにDJIは、日本市場に向けてあらゆるパーツを極限まで軽量化したのでしょう。DJIの本気度を伺い知ることができます。
(本当に199グラムなの?)と思ってしまったあまのじゃくな筆者、キッチンはかりで体重測定したところ、液晶画面には「199」の表示が。

Mavic Miniは、専用アプリ「DJI Fly」をスマートフォンにダウンロードして操縦します。さっそくアプリを入手し、プロフィールを登録してプロポに接続。プロポの電源を入れてから機体の電源を入れてみますと、DJI機を起動させる時のあの「ピロリ~」という音とともにプロペラがわずかに動き、バインド(プロポと機体を接続すること)が完了しました。

さっそく実戦投入。屋根の点検に使ってみた

拙宅内だけで操縦するだけでは飽き足らず、さっそく屋外へ。折しも、筆者の両親から「10月中旬の台風で、家の屋根の瓦がずれていないか気になっている」との連絡があったため、Mavic Miniを飛ばして実家の屋根を点検することを思いつきました。筆者の実家は東京23区内。機体重量200グラム以上のドローンは飛行が制限されているエリアですが、Mavic Miniなら問題ありません。
当日は比較的風が弱かったこともありますが、非常に機体が安定している印象を受けました。屋根のまわりをゆっくり飛行してみましたが、とても鮮明な映像を撮影できましたよ。

結果的には、瓦のずれやゆるみもなさそうということが確認でき、両親もたいへん喜んでくれましたが、このように屋根や高所などといった「地上からの目視が難しい場所の点検」にはドローンが活躍する、ということを身をもって体験できました。筆者のドローン仲間にも、「屋根は確認しづらいので、悪い工事業者に当たると高額な見積を提示される場合がある」「過去実際に屋根の修理を依頼した際、ドローンで事前に確認しておくだけで交渉の際に有利だった経験がある」とコメントをくれた人がおり、個人でもこういった使い方があるのだな、と感じています。

紅葉する遠くの山々も美しく撮影。その場で画像編集もできる!

また先日、長野市を訪れる用事があったので、市内を流れる犀川の土手に立ち寄りMavic Miniを飛ばしてきましたが、すでに紅葉の始まっている山々まで美しく捉えられるのには舌を巻きました。

さらに驚いたのは、撮影した動画をアプリ上で編集することができる点。動画編集アプリと同様の直感的なインタフェースで、動画のカットや色補正、再生速度の変更などが簡単にできてしまいます。

編集した画像をクラウドに保存しようとしたところ、画像のサイズが大きすぎる旨のアラートメッセージがアプリ画面上に表示されましたが、カタカナ部分の表記にタイポがあるのはご愛敬。

屋外でのフライトの際、どの程度の距離・高さまで到達可能なのかは非常に気になるところですが、それについてはドローン仲間が関東某所でMavic Miniを飛行させた際の様子をレポートしてくれました。
それによれば、ほぼ無風の快晴というコンディションの中、高度約50メートル、距離最大250メートル程度まで飛行できたとのこと。対象物の撮影のために大きめの円を描くかたちでノーズインサークルをさせたところ、わずか200グラムにも満たない機体とは思えないほど安定していたそうです。ただ、動画モードでは細かな設定ができないために途中で対象物が白飛びしてしまった場面もあったものの、ほぼ違和感なくスムーズに露出調整してくれたとのことでした。

また、スペック上の「最長飛行可能時間18分」との点はどうなのでしょうか。筆者はまだ電池ぎりぎりまで飛行させたことがないので何とも言えませんが、同じくMavic Miniを飛行させたドローン仲間によれば「12~13分くらいで電池残量が30%を切った」とのことでした。一般的にトイドローンの電池のもちが5分程度とされているのに比べれば圧倒的に長いですが、やはりスペアの電池は欲しくなります。
もう一つ気になる風速と機体の安定性との関係ですが、ドローン仲間が風速計で測りながら飛行させたところ「4.8m/s程度の風が吹いている中での飛行だったが、左右に揺れながらもその映像はブレることなく安定していた」とのことでしたから、まずまずの安定性が確保できると言ってよいのではないでしょうか。

ルールやマナーを守って、楽しいMavic Miniライフを送ろう!

このように、コンパクトな機体に途方もない可能性を秘めたMavic Mini。ただし、だからと言って「日本全国どこでも飛行が可能」というわけではありません。
たとえトイドローンであっても、皇居・最高裁判所・国会議事堂等の国の重要施設周辺や空港の周辺は飛行させることができません。また、地表や水面から150メートル以上の上空等も飛行が禁止されており、罰せられる場合があります。一方で、法律の定めの範囲外だからと言って、他人の私有地内を無断で飛行させるのも、看過できるものではないでしょう。
また、ドローンに好ましくないイメージを持つ人もまだまだ多いので、人の集まる場所で飛行させるのも注意が必要と考えます。今回実家の外で飛行させた際も、父親に補助員代わりになってもらい、周囲に歩行者がいないことを確認してもらいつつ、隣家の上空に機体が入らないようにしながら低空を飛行させました。
「Mavic Mini=どこでも飛行させてよいドローン」との誤解が広がり、間違った飛行をするケースが発生した結果、ドローンのイメージが悪くなったり社会問題化したりするようなことは絶対に避けなくてはなりません。ルールやマナーを守って、楽しくMavic Miniを活躍させましょうね。