MAVIC 2 PRO / ZOOM 買うか買わないか、どちらを買うか?

8月23日に衝撃の発表があったMAVIC 2シリーズがついにデリバリーになりました。すでに入手された方も多いのではないでしょうか。今回は、まだ購入を決めかねている人、PROとZOOMのどちらにしたらいいか迷っている人にわかりやすくMAVIC 2 の魅力をお伝えしたいと思います。

 コレは「買い!」と思ったポイントBEST 5

1)びっくりするくらいの安定性&機動性&静音性

2年前に衝撃のデビューをしたMAVICシリーズですが、今回のMAVIC 2はそれよりもさらに衝撃的な進化を遂げています。まず見た目上の大きな変化はあちこちに設置されたセンサー類。旧MAVICは前方と下方のセンサーで障害物検知をしていましたが、MAVIC 2は加えて両サイド、後ろ、さらには上方にもあります。つまり、DJIでも初となる全方位障害物検知を実現しています。しかも、このセンサーを活用した「APAS(エーパス)」機能を設定すれば空間を立体的に捉えて自動的に障害物を避けながらフライトするというスグレモノです。

※ 自動的に障害物を認識して回避していきます

そして実際にフライトしてみてわかる安定性と機動性と静音性。安定性と機動性というと相反するような話なのですが、実際にそうなのでしかたありません。ピタッととまる安定性があるかと思えば、プロポのレバーを入れれば入れただけスムーズに飛び、しかもPhantom4シリーズよりも速いと思われるスピード感(Pモード時)。低速からスピードに乗った速度域までスムーズに加速します。そのかわり、プロポにあるスイッチで低速域に限定した「Tripodモード」に即座に変更することができるので、低空や狭いところなどの低速で飛びたいところも安全にフライトできます。

2)圧倒的なカメラ性能

なにせカメラの性能が半端ないです。まずPROは老舗のカメラブランドHasselblad(ハッセルブラッド)と共同開発したという絞りが変更できるタイプの高性能カメラを搭載。このサイズながら1インチセンサー(旧MAVICやMAVIC 2 ZOOM、MAVIC AIRは1/2.3インチなので約4倍のサイズ)を搭載し、びっくりするくらいの高画質映像や写真が撮れます。この高画質なだけでも満足してしまいそうです。

※ 木々のディテールもはっきりと写ります

MAVIC 2 PROの写真は青の色調が豊か。青っていろいろあるんだなぁと思います(写真をクリックすると高解像度画像が表示されます)

MAVIC 2 ZOOMも参考に。コレでもキレイですがPROの色調の豊かさがよくわかります(写真をクリックすると高解像度画像が表示されます)

また、MAVIC 2 ZOOMは名前の通りズームができます。24mm〜48mmが光学ズーム、デジタル併用で96mmまで(1080pのみ)4倍に拡大することができ、遠くの被写体や通常なら近づくと危険な人物の被写体も距離をとりながら撮影することができます。

3)お手軽撮影プログラム

DJI製品には高性能な半自動プログラム撮影の「クイックショット」という機能があります。被写体の周りをぐるっと自動で回りながら撮影したり、アップからギュイーンとバックしながら周辺風景を撮影したり、プロが撮影するような映像をかんたんに撮ることができます。そのなかで、今回追加されたのが「ハイパーラプス」と「ドリーズーム(MAVIC 2 ZOOMのみ)」です。

ハイパーラプスは、数秒に1回撮った写真を動画のようにつなげて長い時間を短い早送り映像のように見せる手法です。今までは個別にいろいろ設定して最後は大量の写真を動画編集ソフトで動画にまとめなくてはならなかったのですが、かんたんな設定で動画に落とすところまでできてしまいます。設定はかんたん、仕上がりの動画の長さを決める⇒シャッター間隔を決める⇒動きを決める(自由に操作したり、円を書くように飛んだり、直線的に動いたり、プログラムしたりと決められます)だけです。撮影が終われば動画として編集されて手元のスマホにダウンロードできます。

もうひとつのおすすめ撮影は「ドリーズーム」です。被写体の大きさを変えずに、なぜか背景が歪んでいくという摩訶不思議な効果の映像が撮影できます。ちょっとしたSNS用の映像などにインパクト大ですね。設定も、クイックショットのメニューから「ドリーズーム」を選び、中心の被写体を画面上でタップするだけです。

※ MAVIC 2 ZOOMのみの機能ですのでご注意ください

ドリーズームはとても不思議な映像ですが、仕組みとしてはズームをしながら機体をバックさせることで被写体のサイズを変えずに背景を歪ませています。ズームをするということはカメラの焦点距離を変える(24mm⇒96mm)ので、画角が狭まり、それをシームレスに連動しながら変化させることでこのような映像が作れるということになります。アタマがこんがらがりそうですが、実際にこれを手動でやろうとするとドローンパイロット×ズームオペレーター×ピントを合わせる人という3人くらいほしいレベルです。

4)電波がハンパない

これは地味ですがとても便利な機能です。MAVIC 2 シリーズは「OcuSync2.0」という耐干渉性の高い電波形式を採用しています。これにより手元のモニターに送られてくる映像が高画質なほか、電波が干渉しやすい環境(自分以外にもドローンが飛んでいる、鉄塔などが近くになるなど)でも非常に安定した接続を可能とし、遠方に飛ばしても映像が乱れにくくなっています。以前話題をさらったMAVIC AIRも高画質&コンパクトで非常に良い機体なのですが、電波が拡張Wi-Fiということでこの干渉や遠距離にとても弱いという弱点がありました。特に複数の機体がフライトしている環境では手元に送られてくる映像がカクついたり、接続が切れたりとストレスがあったくらいです。それに対し、MAVIC 2 シリーズはそのようなことがありません。先日のテストではPhantom4 PROと同時にフライトしたのですが、Phantom4 PROのほうが乱れて使いにくいくらいでした。

5)どこにでも持っていけるコンパクトさ

性能とはまた違いますが、コレは非常にありがたい特徴です。機体+プロポ+バッテリー3本+充電器+充電ハブ+その他小物がすべて小さなケースに入ってしまいます。筆者はPhantom4 PROをメイン機体に使っていますが、その場合は大きな専用リュックを背負ってその中に必要なものを入れています。しかし、MAVIC 2ならポシェットサイズのバックに収まってしまいます。ちょっとした旅行や外出などにも迷うこと無く持っていくことができ、実際のフライトでも満足の行く撮影ができます。(実際、Phantomを持っていくかどうかはサイズ感から迷い、MAVIC AIRを持っていっても電波の弱さや飛行性能にストレスを抱えることがあります)

ココはいただけないけどそれでも買いますか?

最強の呼び声高いMAVIC 2 PRO / ZOOMですが、とは言えちょっと気になる点もいくつかあります。

1)ちょっと高い

旧MAVICと比べてちょっと高かった。性能を考えると仕方ないところもあるのですが、10万円台中盤〜を期待していた人も多いはず。しかしながら、購入がMUSTとなってくる予備バッテリーは14,800円(税込)なので、Phantom4シリーズの20,000円(税込)と比較すると安いのは確か。悩ましいところです。

2)カメラの別売りがない ※執筆時点

MAVIC 2 PRO / ZOOMのどちらにしよう…と悩む人は多いことでしょう。ちなみに筆者もそのひとりでした。実はこのカメラ、かんたんに脱着ができて交換できるのです。海外では交換用カメラも発売予定なので、ひとまずどちらかを購入して別売りの交換用カメラで違うタイプに変換すれば問題解決です。しかし、日本では今のところ交換用カメラの発売予定はないとのこと。取り外して状況に応じて高画質を求めたりズームを活用したり、OSMOのような手持ちカメラとしてつかえるとか、これだけの高性能カメラなのでいろいろな場面で使えたらよいのですが…ここは強く望みます!

3)ATTIモードの選択がない

MAVICシリーズ共通ですが、Phantom4シリーズやINSPIREシリーズにはあるATTIモードの選択がありません(GPSが取得しにくいと自動でATTIモードになります)。DJIの操縦士ライセンス「DJI CAMPスペシャリスト」などでもATTIモードでの飛行が必須になっていますし、旧MAVICはGPSが取得しにくい環境では高度制限がかかったりATTIモードとPモードを勝手に行き来したりとGPSの取得しにくい環境では途端に扱いにくくなっていました。MAVICシリーズが比較的ライトなコンシューマー向けということを考えるとPモードでの利用が前提というのはわかりますが、ちょっとした基本設定の変更で選択式になるなどの配慮があってもいいかなぁと思います。

4)少しジンバルゴケするかも

こちらは旧MAVICシリーズからあった事象なのですが、強風だったり、飛行中に急停止したりするとジンバルがカクっと傾くことがあります。今回もテストフライト中に何回かありました。こちらはジンバルの機能限界なのか、改善してもらえるととても嬉しいですね。

※ 最後にちょっとジンバルごけしてしまっています

結局、買うか買わないか、どちらを買うか?

もし、今から空撮用ドローンを購入しようと考えているなら、MAVIC 2シリーズがベストな選択だと言い切れます。そして、あなたが写真を撮るのが好きならば、間違いなくMAVIC 2 PROでしょう。

動画をメインに考えているなら、使い方によって選択したほうがよいかもしれません。SNSにアップしたり、いろいろな撮り方を楽しんだりするならZOOMのほうが楽しいはず。ドリーズームはもちろん、焦点距離を変えたさまざまな画角や距離感で手軽に多彩な映像作品を残すことができます。

でも、映像を業務レベルで深い色合いを表現したいならPROをおすすめします。今回はテストしていませんが、D-log-Mによる10bitで記録した映像は10億色の豊かな色合いで作品を彩ります。

さぁ、どちらを買いましょうか?いや、両方とも買っちゃいましょう!!