九州電力の送電線や変電所の保守点検を担う九電ハイテック(福岡市)は2016年4月から送電線の保守点検にドローンを導入することを明らかにしました。
作業員が鉄塔に登ったり、地上から見上げて目視している送電鉄塔の点検を、ドローンのカメラを使って行うだけでなく、画像処理技術による錆の進行度の診断などの利用も検討されています。
同社ではドローンを9機配備し、シミュレーターや実機を使った飛行訓練を行うだけでなく、航空法および同社が独自に策定した安全基準の教育も行い、独自の検定に合格した社員には「操縦者免許証」を発行するなどして操縦者の育成による安全管理に力を入れていくようです。

アメリカでも目視外飛行での送電線点検がスタート
2016年1月にアメリカの電力会社では初めてXcelEnergy社がFAA(アメリカ連邦航空局)から目視外でのドローンの使用が認められました。Flot Systems社と提携して、Phoenix Aerial Systems社のドローンVapor55で電力やガスのインフラ点検を開始します。
Vapor55は時速約60キロで1時間以上の飛行が可能で、これまでヘリコプターのパイロットや地上の作業員が行ってきた点検をより安全に、かつ安価に行うことを見込んでいます。

橋梁や送電線、鉄塔など生活に欠かせない社会インフラの多くは高度経済成長期に建設され、長い年月の間、雨や風、雪、雷、地震といった自然現象によって劣化が進んでいます。加えて、これらのインフラを長年見守ってきたベテランも引退の時期を迎え、後継者となる若手も少ないのが現状です。
橋梁やダム、送電線や鉄塔といった私たちの生活を支えるインフラを点検するロボットとしてドローンが活躍する環境は整いつつあるようです。