「次世代ドローンを支えるソフトウェア技術」セミナー参加レポート(後編)

4月19日に渋谷の TECH PLAY にて開催された「次世代ドローンを支えるソフトウェア技術」。前回の記事ではオープニングからセッション1までのハイライトを 前編 としてお伝えしましたが、今回は 後編 ということでセッション2から懇親会までの模様をレポートしたいと思います。

セッション2:エンジニアが今ドローン業界に来るべき3つの理由

セッション2で登壇されたのは、シンガポールに拠点を置く RedDotDrone Pte.Ltd. Co founder の三浦望氏。どのような産業領域でドローンが活用されているか、どのような技術分野でソフトウェアエンジニアが活躍できるか、徹底的なエンジニア視点で説明がありました。

ドローンが活躍している3つの産業領域

ドローンが活躍している産業領域として、「FILMING(空飛ぶカメラ)」「ROBOT(空飛ぶ産業ロボット)」「ENTERTAINMENT(空飛ぶF1)」が紹介されました。

「FILMING(空飛ぶカメラ)」とは、空撮のことです。趣味にもビジネスにも使われ、現在、最もポピュラーな分野だと言えます。

「ROBOT(空飛ぶ産業ロボット)」とは、農業、測量、点検、物流といった一次産業・二次産業中心に使われるもので、大型で自動飛行が中心となっていくビジネスに直結した分野だと言えます。

「ENTERTAINMENT(空飛ぶF1)」とは、ドローンレースやドローンショーなどが既にTVでも紹介されるようになってきました。2018年の平昌オリンピックのオープニングで、1000機以上のドローンが見事な光のショーを実演したのが、記憶に新しいところです。

ソフトウェアエンジニアの活躍できる3つの技術分野

3DモデルやSLAMが話題になっていますが、他にもソフトウェアエンジニアが活躍できる分野を「ON BOARD」「GROUND STATION」「CLOUD」に分けて紹介されました。

「ON BOARD」とは、C言語やC++といったプログラミング言語が必要とのこと。いわゆる組み込み系ということですね。

「GROUND STATION」とは、人とのやりとりが主になりプログラマーでなくてもできる分野とのこと。画面インタフェース作りなどになるでしょうか。

「CLOUD」とは、AWS(Amazon Web Services)などのクラウドサービスを使ってサーバを構築して運用する知識と経験が必要な分野とのこと。ITインフラエンジニアの領分ということでしょうか。

ガチガチのプログラマーはもちろん、アプリの画面設計やWebページ作成をしているエンジニア、ITインフラエンジニア、そのようなIT業界には普通に存在するエンジニアのスキルが活かせるということかと思います。

事例紹介

スポーツのスピード感ある映像の撮影事例で、ヨットレースの事例を紹介されました。人の手で空撮するときは、折り返し地点まで操縦するのが大変だったそうです。そこで、GPSをつけたブイをゴール地点におき、そこをめがけて自動で飛行するシステムを作ったのだそうです。空撮という産業領域に、エンジニアのエッセンスを取り込んだ事例だといっていいのだと思います。

エンジニアにとってのドローン業界の魅力

いくつか紹介されていましたが、「引く手あまたの業界」であり「これまでのスキルを十二分に発揮できる業界」という業界だということでした。未来感溢れるだけでなく、エンジニアにとって非常にワクワクする業界だということかと思います。

エンジニアと呼ばれる職種の方々は、基本的に勉強熱心で好奇心が旺盛です。思い切って飛び込んでみれば、活躍の場は無限に広がるのではないか、そう感じさせるプレゼンでした。

懇親会:参加者の声

セッションが終わると、懇親会となりました。参加された方にお話を聞いてみると、こんな感想が返ってきました。

・ドローンエンジニア塾に入りたいと思った
・オープンソースの仕組みができていることを初めて知った
・ビジネスにするのはどうすれば良いのかわからないが、まずはコミュニティを育てていくのが大切ではないか
・コミュニティの参加者が増えすぎても統制が取れず品質が下がるようでは本末転倒、参加者を増やすこと、一方でコアとなる人材の絞り込み、そのバランスが必要になるのでは
・いろんな分野のエンジニアが活躍できる場があることがわかった

議論や質問、意見交換は尽きず、終了時間を過ぎてもなかなか帰る気配を見せないくらいの盛り上がりでした。

まとめ

今回のセミナーで学んだことを私なりに5つにまとめました。

・ドローン業界は異業種をアイディアを取り入れる余地があり、エンジニアも不足しているので引く手数多であり、エンジニアが活躍できる場が沢山ある
・ドローンはソフトウェアで動いていて、オープンソースも既にある
・オープンソースのコミュニティは日本にもあり「ドローンエンジニア塾」で人材育成を行っている
・空を飛ぶ機体だけがドローンでは無い、陸海空全ての移動体を「ArduPilot」で作ることができる
・黎明期の面白さがまだまだ残っているのでワクワクする業界である

登壇された田路氏、春原氏、Randy氏、三浦氏からは、「一緒にやりましょう、待ってますよ!」というオーラがひしひしと感じられました。一言で「エンジニア」と言っても様々な分野のエンジニアがいるわけですが、一度自分自身のスキルを洗い出してみてはいかがでしょうか? そこには、ドローン業界で必要とされるスキルが、必ずあるに違いありません。

【参考書籍・URL】
・「ドローンプログラミング アプリ開発から機体制御まで」翔泳社
・Ardupilot org : http://ardupilot.org/ (Ardupilotの公式HP、英語)
・Ardupilot TAP-J : https://ardupilot.jp/ (Ardupilot の日本チーム、日本語)
・ドローンエンジニア塾:https://www.drone-j.com/ades