編集部注:本稿は台湾を中心に東南アジアで活躍する川ノ上和文氏が運営する情報サイト「CONNECT Let’s xyZing!!」からの転載記事。日本語では情報の少ない台湾のドローン事情について記載があったので、同氏に許可をいただき、こちらに掲載させてもらっております。
今回は私が今住んでいる台湾でのドローン事情をざっくりお伝えします。
日本では首相官邸に落ちたことで、悪名が先に広がってしまったドローンですが、こちら台湾でも台北のランドマーク 台北101に衝突したり空港内に墜落したりとドローン事故は発生しており、世間的にはどちらかといえばネガティブなイメージが広まっているようです。
ただ、日本ほど過熱に報道されていたわけではないので、ドローンの可能性に注目している人も少なくはないです。
事故を受けて、政府もドローンを規制する法改正をし、現状は下記のようなルールになっています。
- 重量15キロを超えるものについては政府機関の民航局(民用航空局)が管理し、趣味営利目的にかかわらず免許が必要、かつ機体、操縦者両方の登録が必要。免許取得可能年齢は他の免許を参考に現状18歳以上とする。15キロ未満の重量については地方自治体の管理に任せる。
大きさに関わらず下記の飛行規定が設けられ、この規定をこえる飛行については空撮業者であれ政府機関への申請が必要となる。
- 高度は400フィート(121.92メートル)以下
- 日中のみ
- 目視範囲内
- 空港や政府施設付近等禁止区域内の飛行禁止
- モノの輸送及び投下は禁止
- 人が集まる場所の上空は禁止
重量規制が日本の250gよりも大きいので、ホビーレベルの公園での低空飛行練習であれば基本問題ない、ということになります。実際、公園や大学キャンパス内で練習している人を時たま見かけることがあります。
また、台北市内には公認の飛行練習場もあり、比較的大型のラジコンやドローン愛好家の練習やレース・大会用地としても使われており、昨年はFPVレースも開催されています。
ドローンの購入については、小型のホビーレベルであれば街のおもちゃ屋で販売されており、
parrot、DJI、3DRといった空撮用途のものは商業施設内に代理店が入っています。
台湾発のドローンメーカーといえばラジコンメーカーとして有名なALIGNが空撮用とFPV用の機体を出しています。このALIGNはラジコン企業としては唯一上場しており、業界内での知名度も高いです。
(5月末にALIGN関係者への取材を予定しておりますので乞うご期待!聞いてみたいことがあれば問い合わせページからご連絡いただければ幸いです。)
ドローン関連の人材育成については大学で設計から操縦まで専門課程を設ける動きが進んでおり、年内にはスタートする見込みです。施設内にはフレーム用素材の加工機器、電波実験設備があり、レースを含む操縦技術訓練用地も設けています。
<電波実験室>
<ドローン実習及びレース設備設置用地>
現状このような民間の動きが活発になりつつあり、政府の動きとしては上記の法規制発表後は特に大きな動きはありません。別の見方をすれば、15キロ未満の機体の飛行管理については地方政府に委ねられているため、民間×地方政府という協業モデルに注目しています。
それぞれの動きの詳細についても徐々に紹介していきますので、ご期待ください。