本連載はタイ在住でドローン専門ブログ『Drone@Bangkok』の管理者による海外のドローン事情を紹介するコラムです。第2回は東南アジアのブルネイを取り上げます。 |
東南アジアでもっとも裕福な国といえば、そうシンガポールが有名ですね。低い税率を設定することで世界中の企業・投資家を誘致し、今や世界有数の経済都市となったアジアの金融立国。一人当たりのGDPは2016年時点でおよそ52000ドルと日本より高いです。
それでは第2位はどの国か、みなさんご存知でしょうか?
マレーシア、タイ、それとも人口2億を超えるインドネシア?
残念ながらどれも違います。
冒頭で紹介した一人当たりGDPで、上記東南アジア3ヶ国を抑え第2位の地位に位置するのが今回紹介するブルネイなのです。
ブルネイ概要
ブルネイ。正式名称ブルネイ・ダルサラーム国。どこにあるかご存知でしょうか?
シンガポール、フィリピン、インドネシアを頂点とする三角形を作った時にちょうど真ん中にあるボルネオ島の北部に位置します。またインドネシアとは陸地で国土を接しています。
ASEAN加盟国のうちの一つでもあるこの国は石油や天然ガスなどの資源を多く有し、これらを輸出することでブルネイ国内経済は非常に潤っています。そのおかげもあって個人所得に対する所得税や住民税は課されていないというなんとも羨ましいリッチな国、それがブルネイなのです。
今回はそんなブルネイのドローン事情についてご紹介しましょう。
許可なしでのドローン飛行は禁止
残念ながら2018年3月現在、ブルネイにおいてはその目的が商業目的かレクリエーショナル目的かに寄らず、飛行許可のないドローン飛行は禁止されています。
ブルネイのドローン規制はDepartment of Civil Aviation(通称DCA)によって定められており、2016年3月に公開されたプレスリリースによると、2006年に制定されたCivil Aviation Orderのセクション21により、全てのドローン飛行は禁止されると明言しています。
DCAによれば、ドローンは航空航路や、空港をはじめとする管理空域または人口集中区域に対する安全上、セキュリティ上のリスクを孕んでいると指摘しており、こうした規制を伴わないドローン飛行は航空機のオペレーションに対して壊滅的な結果をもたらす可能性があるとの懸念を表明。ドローン飛行についてはDCAによってケースバイケースで許可が発行されるものの、許可なしでのドローン飛行を行った違反者には50000ドル未満の罰金と5年未満の懲役刑のいずれか一方、またはその両方が課されると定めています。
参考までに以下2016年3月にDCAから公開されたプレスリリースを記載します。英語は原文そのままです。
NO DRONES Bandar Seri Begawan – The Department of Civil Aviation (DCA) of the Ministry of Communications has reminded the public that launching of any unmanned aircraft, commonly known as drone, is a prohibited activity under Section 21 of the Civil Aviation Order 2006. The DCA said it is an offence to use Unmanned Aircraft (UA), Unmanned Aerial Vehicles (UAVs) and Unmanned Aerial Systems (UAS) as they can pose a number of safety and security risks to air navigation, controlled airspace and densely-populated areas. Any such unregulated flying activities may have catastrophic consequences to aircraft operations resulting in injuries to persons and damage to properties, stated the DCA in its press release. Although exemptions on the use of UAs are granted by the DCA on a case-by-case basis with the terms, limitation and conditions set out in the authorisation of the DCA, UA owners or any others who contravene or fail to comply with any provision of the Order is guilty of an offence and is liable on conviction to a fine not exceeding $50,000 and imprisonment for a term not exceeding five years or both, based under Section 51 of the Civil Aviation Order 2006. The DCA further stated that it does recognise the innovative potential of the use of UAs and that the department is currently undergoing consultations with stakeholders in developing and reviewing a regulatory framework on the use of UA. “This regulatory framework will address the safety and security concerns and risks associated with the use of UAs,” the department said in a statement. “Nevertheless, the DCA would like to seek the cooperation from the public to adhere to the existing Civil Aviation Order for the safety and security of the air navigation”. |
<Source>
https://goo.gl/n6Lu3i
飛行許可の取得方法
一筋縄ではいかないブルネイのドローン規制。短期滞在の旅行者がブルネイでドローンを飛ばすのは簡単ではなさそうです。
ただし上述の通りケースバイケースですが個人でもDCAから許可を取得できる可能性はあります。
2017年7月にDCAから発表されたプレスリリースによると、飛行許可の申請は以下に申請することで取得可能です。
申請書等はDCAのウェブサイト上で公開されていないので、まずは下記DCAの連絡先にメールでコンタクトして詳細な手続き方法を確認することからスタートしましょう。
DCA飛行許可申請先
Director of Civil Aviation
Department of Civil Aviation
Brunei International Airport
Bandar Seri Begawan BB2513
Brunei Darussalam
(Attn: Head of Regulatory, Regulatory Division) Attnというのは宛先のことです。
Email: info.dca@civil-aviation.gov.bn
<Source>
https://goo.gl/XZmWxH
飛行許可取得の元での飛行ルール
ここまでブルネイのドローン規制と飛行許可の申請方法について見てきましたが、晴れて飛行許可を取得できた場合でも、守るべき飛行ルールがあるのは他の国々と同じです。
ブルネイでは最低限以下の飛行ルールを守ることが義務付けられています。
- 人口集中区域や人混み上空での飛行は行わないこと
- 空港周辺での飛行は禁止
- 飛行は日中に限り行い、悪天候では飛行しないこと
- 政府組織や軍事施設などのセンシティブな場所周辺では飛行しないこと
センシティブな場所と聞いて飛ばしてはいけない所がすぐに思いつかないという方は以下の記事を確認してください。
<関連記事>
ここはヤバい!! 万国共通ドローンを飛ばしちゃいけない場所リスト
いかがでしたでしょうか。
レクリエーション目的、商業目的のどちらにおいてもまずは飛行許可の取得が必要な国ブルネイ。イスラム教ならではのモスクをはじめ、ウルテンブロン国立公園などの自然の魅力も詰まった国。ドローンを飛ばすことができれば魅力的な映像が取れることは間違いなしです。