日本郵便、奥多摩町にてドローンを用いた配送の試行を実施

郵便業や物流業を手掛ける日本郵便(以下「同社」)は、東京都奥多摩町にて、ドローンを用いた個人宅への配送試行を実施しました。

実施概要

  • 飛行区間:奥多摩郵便局~配達先(個人宅)
  • 試行実施日:2020年3月17日(火)~3月19日(木)
  • 飛行時間帯と回数:9:00~15:00の間に1日1往復
  • 積載するもの:1.7kg以内の郵便物、荷物
  • 飛行高度と速度:地面から30m~140mの高さを10m/s(約36km/h)以下の速度で飛行

20分かかっていた配達時間を半分程度に短縮

今回の試行に採用されたのは、株式会社自律制御システム研究所(ACSL)製の純国産ヘキサコプター(6枚羽のドローン)「PF2」。完全自律・高速飛行により、片道12キロメートル程度まで輸送が可能。独自開発の「キャッチャー」と呼ばれるモジュールが対象物をつかみ、目的地に到着すると自動的にリリースします。

飛行経路は、奥多摩郵便局(以後「同郵便局」)から奥多摩町在住の個人宅まで。
同郵便局は奥多摩駅から徒歩およそ7分、多摩川沿いの比較的標高の低い場所に位置しています。ここから配達先の個人宅まで陸上交通で向かおうとすると、20分近くかけて山間のうねうねとした林道を抜けていかなければなりません。特に荒天の日などは、配達員の方の負担も相当のものであろうとの想像が容易につきますね。

上:ドローンが離発着した奥多摩郵便局

試行が行われた3月17日は、午前10時20分ごろにこちらのドローンが同郵便局を離陸。
同郵便局の位置する川沿いの低地から山間部の個人宅までは、標高差が大きく非常に起伏に富んだルートですが、ドローンは航空法で定められた飛行上限である対地高度150メートルを遵守すべく、斜面に沿うように登り降りしながら飛行し、約10分後に個人宅に到着しました。ゆっくり着陸した後、郵便物を置いて再び郵便局目指して飛び立ちました。
施行の結果、これまでの配送では20分かかるところが、ドローンでの配送の場合10分程度で完了することが確認できました。

上:奥多摩の山並み。手前右側の山の向こうからドローンが飛んでくるルート設定だった

深刻な配達員不足を解消するための一歩

運輸・配送業界は深刻な人手不足に頭を悩ませていますが、同社も例に漏れません。昨年(2019年)8月には、総務省の有識者委員会により、同社がこれまで行ってきた普通郵便物の土曜日配達を取りやめる制度変更が必要だとの見解がまとめられました。今年にも土曜日の配達が廃止される見通しです。
また今年3月3・4日には、ラストワンマイル配送でのロボット活用の可能性を検証するため、同社本社ビル内でAGV(無人搬送ロボット※1)を活用した配送の試行が実施されたばかりです。
同社は今回実施したようなドローン配送を、山間部等における業務の効率化につなげたいとしています。

※1 AGV:Automatic Guided Vehicleの略。無人搬送車、無人搬送ロボット等と訳される。

シェア
前の記事センシンロボティクス、ドローンを活用した陸域生態系調査の実証実験を実施
埋田奈穂子/Naoko "Ruby" Umeda 慶応義塾大学商学部卒業後、大手通信企業に入社。以後、一貫して通信関連事業に従事。現在は総合コンサルティングファームにて、通信・メディア系企業を対象に、新規事業立ち上げやマーケティング改善、海外事業展開等の支援に携わる。主著「日米欧のスマートグリッド政策と標準化動向2010(インプレス社)」。趣味は旅行・料理・美術・ヨガ・剣道・ネコ等々。第三級陸上特殊無線技士、アマチュア無線4級、DJI Specialist。「ドローンジョプラス」(https://www.drone-girls.com/)メンバーとしても活動中です!