日本初!国際ルールに則った「F9Uドローンレーシング日本選手権」開催(前編)

2019年9月7日(土)・8日(日)の2日間、「第1回 F9Uドローンレーシング日本選手権」が開催されました。今回はこちらの様子をレポートします。

大会概要

日時:2019年9月7日(土)(予選)・8日(日)(決勝)
場所:ナショナルトレーニングセンターJヴィレッジ(福島県双葉郡楢葉町山田岡美シ森8)
公認:日本航空協会(JAA)
主催:日本模型航空連盟(JMA)
実施:日本ドローン協会(JDA)
ルール:2019年FAIルールに準じる

日本初の「世界標準ドローンレース」

ドローンレースとはその名の示す通り、ドローンを走行させてそのスピードを競うもの。選手がFPV(First Person View)ゴーグルと呼ばれるデバイスを装着し、ドローンに搭載されているカメラから送信される映像を頼りに、あたかも自分がドローンに乗って操縦しているかのように機体を操り、他の選手と戦う競技です。
数年前から欧米等でドローンレースイベントが開催され始め、動画投稿サイトを中心に少しずつ知られるようになってきました。2016年にドバイで開催されたドローンレースでは、弱冠15歳の選手が優勝賞金25万ドル(約2,842万円※)を獲得して話題になったことをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。

今回福島で開催されたこのF9Uドローンレーシング日本選手権、日本で初めて国際ルールに則って開催されたレースであり、日本のレースドローン界において非常に画期的なものでした。
と言うのも、日本の現状を諸外国と比べると、電波法や航空法のハードルが高く、世界水準ルールに則ったレースの開催が難しく、海外選手に参加してもらうことさえ厳しい状況だからなのです。そうした中、当レースは日本航空協会(JAA)の公認イベントであり、このJAAは国際的な航空組織であるFAI(Federation Aeronautique Internationale)の日本支部。また主催の日本模型航空連盟(JMA)はJAAの傘下にある航空スポーツ団体で、模型航空機を用いて行う各種スポーツの運営・拡充・発展を司る統括団体です。今回はこれら団体がタッグを組み、日本ドローン協会(JDA)の運営のもと、FAIの定める国際ルールに基づいた競技実施と判定を行うという、レースドローン界におけるエポックメイキングなイベントでした。
初日である7日(土)は練習と予選が行われ、2日目の8日(日)は予選を勝ち抜いた9名の選手が決勝を戦いました(同時に7位決定戦・4位決定戦も実施)。
予選では、全ラウンドの中で、各選手のコース1周回あたり最も早いラップタイムが予選記録として登録されました。決勝は、予選結果上位9名の選手が決勝トーナメントに勝ち進み、スタートの合図から最も速くゴールに到達した選手が1位となるレース形式でした。上:レースコースの見取り図
※1ドル=113.68円、2016年3月31日当時のレートで計算

開催地は東京2020オリンピック聖火リレーのスタート地点

会場となったJヴィレッジは、福島県双葉郡楢葉町に位置し、もともとはサッカーのナショナルトレーニングセンターとして開設されたスポーツ施設。東京2020オリンピック聖火リレーの出発点となる予定だそうです。今回はそのうちの全天候型(屋内)練習場でレースを行いました。
こちらの全天候型練習場、一面に人工芝が張られ、天井全面から採光されるつくりで、非常にひろびろとした明るい印象の場所。上:全天候型練習場の内部

こちらで筆者は今回、当レースのメイン解説者である戸澤洋二さん(一般社団法人 日本ドローン無線協会・会長)のアシスタントとしてサブ解説を担当しました。上:メイン解説者の戸澤洋二さん(右)と筆者

練習と予選(1R)が実施された1日目

前編では、初日(7日)の模様をお伝えします。
初日は、受付にて各選手が車検(機体のチェック)を受けたのち、合計3本の練習を実施。お昼過ぎの開会式を経て予選1R(合計3回の予選のうちの1回目)が行われました。

午前9時30分、受付開始と同時に、エントリーしていた選手たちがお手製の愛機を携えて続々と受付カウンターに到着。車検では、FAIルールに準じ、機体重量やバッテリーの電圧、LEDが正しく搭載されているか、等が細かくチェックされます。ここで「規定外」の判定を受けてしまうと、当該の機体ではレースに出場できなくなってしまうということもあり、少しピリピリした雰囲気がありました。上:車検(ドローンの機体チェック)の様子

車検後に全選手を対象としたブリーフィング(ルールやスケジュールの説明)があり、その後練習開始。「コースの様子を探る」「機体の動きをコースに慣らす」のが目的ですので、選手も100%全力投球というわけではなく、あくまで肩慣らしといった感じです。
それでも、この迫力!キュインキュイン言っているのがレースドローンです。モーターの回転速度が高速のため、このような音が出るのだとか。まさに、モータースポーツで言うF1(フォーミュラ1)のドローン版と言ったところでしょうか。

上:練習風景

各選手が順番に3本の練習を終えたあと、開会式にて開会の宣言があったのち、いよいよ予選開始です。コース1周回あたり最も早いラップタイムが予選記録として登録され、その順で決勝戦進出が決まるとあって、やはり練習の際とは打って変わった緊張感。少しゆっくりめに走行していた練習の時と比べ、スピードも全く違います。解説者席で見ていた筆者も、スピードがあまりに高速すぎて機体を見失うこともしばしば。レースドローンはなんと、時速150km近いスピードが出る場合もあるのだそうですよ。
上:控えスペースの選手たち

予選1Rを終え、事故なく無事に終えた1日目。やれやれ…とほっとしつつも、メイン解説の戸澤さんは「明日に向けて、これから夜なべして機体の整備に取り掛かる選手もいるのではないか」と一言。確かに、予選1Rの結果が納得いくものであった選手にとっても、そうでなかった選手にとっても、予選2・3Rが行われる2日目こそが天下分け目の天王山。果たして結果はいかに…
そんな2日目の模様は、後編でお伝えします。

シェア
前の記事Drone Fund がブラジルの農業用ドローンスタートアップ ARPAC へ出資を実行
次の記事DJIが199gの折りたたみ式フライカム「MAVIC MINI」を発表
埋田奈穂子/Naoko "Ruby" Umeda 慶応義塾大学商学部卒業後、大手通信企業に入社。以後、一貫して通信関連事業に従事。現在は総合コンサルティングファームにて、通信・メディア系企業を対象に、新規事業立ち上げやマーケティング改善、海外事業展開等の支援に携わる。主著「日米欧のスマートグリッド政策と標準化動向2010(インプレス社)」。趣味は旅行・料理・美術・ヨガ・剣道・ネコ等々。第三級陸上特殊無線技士。写真はプロジェクト従事のため2016年に半年間滞在したヤンゴン(ミャンマー国)でのひとコマ。「ドローンジョプラス」(https://www.drone-girls.com/)メンバーとしても活動中です!