※本コラムは中小企業診断士であり、ドローンコンサルタントとしても活躍されている関口大介氏より寄稿いただきました。農業分野におけるドローンの活用方法について解説されています。
高まるドローン農業活用への期待
ドローンの活用方法として農業分野での期待が高まっており、農水省でも具体的な利用を想定して各種指針を公布しています。TTP締結の問題もあり、国内市場は更に海外農作物との競争が激しくなると予想されます。今後、効率性向上や生産性向上に貢献すると考えられるドローンへの期待は更に高まることでしょう。
現状、ドローンの活用方法として期待されているのは、主に次の2つと言われています。
①農薬・肥料散布
農薬散布は数kgのタンクを運んで農作地をくまなく歩き回らなければならない体力と時間のいる仕事です。また、農薬の吸い込んでしまうことによる健康被害も懸念されています。ドローンを使えば、この重労働と健康リスクから解放されます。
今までもラジコンヘリを用いて、農薬や肥料の散布は行われてきました。しかし、このラジコンヘリの価格は1000万円前後と非常に高価であり、また、操作にも習熟する必要があるなど、一農家で導入するには非常にハードルの高いものでした。
一方、最近登場した農薬・肥料散布用ドローンは200万前後とラジコンヘリに比べ格安となっています。操作も一定の習熟が必要ですが、比較的平易に行えます。
②育成状況のチェック
日々、作物の育成状況をチェックすることも非常に重要な仕事です。肥料を加減したり、収穫時期を測ったり等、知識と経験のいる仕事となります。
この作業も、マルチスペクトルカメラ(可視光線以外の様々な波長も捉えることが可能なカメラ)を搭載したドローンと解析システム一式があれば、比較的経験の浅い作業者でも、育成状況のムラ等を事細かにチェックすることが可能となります。
契約栽培農家にとってのメリット
私はドローンは特に契約栽培を行う農家にとって、大きなメリットをもたらすと考えています。農家と契約を交わす企業側からすると、農作物の状況がどうなっているかをチェックすることは容易ではありません。農作地が企業から離れているというのは勿論、ノウハウ・経験がないため、現地で作物の状況を見ても、正常に育成しているかどうか判断が付かないからです。
そこで、ドローンを活用することによって作成されたレポートが定期的に送られて来れば、作物の育成状況も把握しやすく、もし問題がある場合でも、早めに手を打つことができます。
これは企業側にとって非常にありがたい。そして、農家はそのことで大きな信用を得ることができます。これから契約栽培に取り組まれる農家も、既に取り組んでいる農家も、ドローン導入は一度は検討するべき事項だと考えます。
関口大介
中小企業診断士としての資格を持ち、経営コンサルタントとして、新事業のアイデア創出から事業化までのコンサルティングを行っている。
東京都中小企業振興公社にて創業の支援を多数行ってきた実績を持つ。
株式会社エイチ・アイ・エスが創設した澤田経営道場にも講師として協力。
講演の実績も多数あり。
直近では、セミナー「豊富な実例に学ぶドローンの実際と将来展望」を開催予定。
http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC160855.php