千曲市にある姨捨の棚田は、広大な面積を持ち、棚田の数は2000枚ほどあると言われています。その広大さと美しさから棚田100選にも選ばれています。
前回に引き続き、今回は姨捨の棚田の月明かりの撮影方法を解説します。
前回記事:http://dronemedia.jp/drone-cruise-nagano-chikuma-city/
長野県千曲市・姨捨の棚田
令和元年となった今年、5月19日(日)に、姨捨の棚田を訪れた僕たちは、美しく輝きながら東の空から昇っていく満月に期待をしつつ、田の傍らでその瞬間を待っていました。
この日の月の出は、19時3分。日の入りが過ぎ、徐々に周囲が暗くなっていき、あたりがすっかり闇に包まれる頃、東の空が徐々に明るくなっていきます。この日、東の空には薄く広い雲が広がり、期待していた丸く大きな月を見るには、雲が広いスペースを空けてどいてくれないと見れない状況。
しかし、この日は強い風が終始吹いてくれたおかげで、いつしか雲も晴れていき…
予想通りの大きく丸い月が、しっかりと僕らの目の前に飛び込んでくれたのでした。
月明かりだけが頼りの夜間飛行
月が大きく広く照らしてくれるお陰で、目が慣れれば比較的明るい夜ですが、ドローンを上げてみると、ほとんど何も映りません。シャッタースピードを1/30にし、ISO感度を最大の6400にして、わずかな光を取り込むようにします。(機体はDJI Phantom4Proを使用)
若干上目の月を捉えるために、ジンバルを上方30度まで上がる設定にします。
それでようやく、自分の位置からの映像の雰囲気を見ることができます。
夜間飛行ではありますが、夜景を標準のカメラで捉えるために、刻々と変わる夜空に合わせて設定は限界まで見直します。
月と田に映る月のベストなアングルを探す
月の位置が確認できたら、下方の田に映る月を探します。
田がどのような形なのか、大きさなのか、全く写り込まないので確認はできません。
高さを少し低め(この時は高度23m程度)にし、エルロンで少しずつ移動しながら、田の反射を捉えます。
ある程度探索していると、キラリと光る反射を捉えることができます。その位置(特に角度と高度)を参考に、反射が消えないように、少しずつ移動します。
風がなければ最高の田毎の月
万葉の時代の人々は、この角度の月を見ることはできません。しかし、想像力たくましい昔の人々は、恐らく一つ一つの田に綺麗に映り込む月が見えるだろうという想いを持って、一枚一枚の田毎に句を読みます。
僕たちが見た月もまた、現代の道具の力を借りて見ることのできる田毎の月。そこには、上空を移動するからこそ捉えられる月の反射が、田毎に見える様を見ることができます。
惜しむらくは、この日の風の強さが水面を波立たせ、ベストな水面を作り出せなかったこと。
もし、無風状態で、田が鏡面となっていたら、恐らくは、空に浮かぶ月と全く同じ状態で、水面に映る月を同時に見ることができたと思われます。
次回、この姿を期待して、また田毎の月を撮影しようと思います。
夜間飛行時のちょっとした注意点
棚田のような場所は、月明かりがあったとしても、ドローンのカメラには真っ暗な闇の映像しか映りません。
そのような状態で、目視外で飛行させた場合、ホームポイントに戻って来るには、コンパスを使うか、あえてゴーホームさせるか、というところになります。
高い建物や木はそれほどないので、RTH高度を30m程度にしても、十分ゴーホーム発動は可能ですが、できればコンパスで戻せるように練習したほうが安心です。
また、着陸時には、懐中電灯などで着陸ポイントを照らし、ビジョンセンサーがしっかり機能するようにしましょう。
最後に、田毎の月の映像です。
(田毎の月)
https://youtu.be/yPHCK-Fp_g0
【ご相談・ご協力・届出先】
★千曲観光局
★千曲市役所農林課