『The 4th Shenzhen International UAV EXPO 2019』視察レポート! 個性豊かなドローンが深センに大集合! 日本からはエアロネクスト社が初出展

DJIを筆頭としたドローン関連企業・イノベーション企業があつまる中国・深セン。

日々新たなものが生まれるこの街で2019年6月20日~22日、「The 4th Shenzhen International UAV EXPO 2019」(以下、UAV EXPO)が開催されました。

このたび「深センドローン市場&イノベーション都市視察ツアー」に同行し、UAV EXPOをじっくり見学してきましたので、その様子をレポートします!

たくさんの企業が軒並み出展! 日本からはエアロネクストの現地法人が初のブース出展

今回で4回めの開催となるUAV EXPO。回を重ねるごとに出展企業数・内容ともにどんどんアップデートしているとのこと。

会場であるShenzhen Convention & Exhibition Centerは、日本で言う幕張メッセのような巨大な展示ホールです。

中に入ると、出展企業がこんなにもたくさん!

こちらは、重心制御技術4D Gravity®をはじめとする機体開発で名高い「エアロネクスト」社の現地法人「天次科技(深圳)有限公司」で、今回初めてのブース出展だそうです。

ちなみに。

中国語では「ドローン」は「无人机(wú  rén j ī) 」というそうです。

というわけで、まずはエアロネクスト社の現地法人「天次科技(深圳)有限公司」のブースに訪問することに。

エアロネクスト社の代表取締役CEO田路さんが出迎えてくださり、今回の出展についてのお話を伺うことができました。

同社は、今年5月には中国・深センにあらたに現地法人「天次科技(深セン)有限公司 (英文名 Aeronext Shenzhen Ltd.)」を設立。UAVにおける機体の構造を根本的に見直し開発した独自の重心制御技術「4D GRAVITY®︎」を最大の強みとして、中国市場への進出を進めています。

4D GRAVITY®︎は、従来のドローンでは実現できなかったその安定性、信頼性で産業ドローンの用途範囲を大きく拡大できるものです。ブース内では、いくつかの原理試作が展示されていました。

▲コーヒーをこぼさずに運ぶドローン(上)と荷物を傾けずに運ぶドローン(下)。これらを物流など、幅広い産業用途へ広めていきたいとのこと。

「中国は、研究機関と飛行場が隣り合っているという環境面も、かなり整っています。ここから物流ドローンのユースケースが生まれていくと考えています」と語る田路さん。

世界で通用する技術を、ドローン先進国の中国から発信していきたいという熱い思いを感じるお話でした。

なお、エアロネクストはこの後中国大手ドローンメーカー2社と戦略的提携を組んでいます。中国から世界へと大きく羽ばたいていくその動向に、今後も注目していきたいですね!

関連記事:エアロネクスト、中国大手のドローンメーカー2社と戦略的提携。4D GRAVITY®︎搭載ドローンの中国市場への投入に着手

すでに実用化へ! 夢のドローン×配送ボックス

配送系ドローンを手掛ける一飛智控(天津)科技有限公司のブースでは、発送手続きと配送をできる大きな機械が展示されていました。

▲全体図はこんな感じ。宅配ボックスを大きくしたような見た目ですが・・・。

まず配送先などの情報(QRコード)をスキャン。液晶画面で確認後、黄色い扉に送りたいものを入れると、自動で機械の天面に置かれたドローンに装着され、配送がスタートします。

ドローンの拠点である天井部分は充電ステーションになっており、戻ってくると自動的に充電、バッテリー交換も可能とのこと。

気になるパワーですが、10kmを30分ほど(最大積載量80kg程度)で配送できるとのことで、実用は十分だといえます。

ウイグル地方ではもう実際に使用されており、アリババ傘下の配送サービスと提携して郊外や農村で実験を進めているそう。

中国では決済をはじめ、様々なシーンでQRコードがかなり普及しています。そういった背景も、ドローンを利用した新しいサービスの実現によい影響を与えているのでしょう。

田路さんがおっしゃっていた「物流のユースケースが中国から生まれていく」ということ。本当にそうだなと思いました。

軍事色は少なめに、防災、防犯面は充実!?

UAV EXPOの開催は今回で4回目ですが、前回以前に訪れたツアー参加者や同行メンバーは「今までは”軍事色”が強かったけれど、今回は本当にいろんなバリエーションがあるね」とびっくりしていました。

私は初の視察でしたが、たしかにざっと眺めるだけでも軍事っぽさを感じることはあまりありませんでした。

しかしながら、日本ではほとんど見ることのできない「中国ならでは」の展示もたくさん見ることができました。

こちらは不法侵入したドローンを撃ち落とすための機械です。電波を妨害して飛行不能にするというもの!

 

▲まさに銃のような見た目ですが、SF感もあります。

軍事施設が多数ある中国ではそれなりの需要があるらしく、数社が同じようなものを展示していました。

こちらもやや物騒な見た目ですが、軍事用ではなく、災害時に役立つドローンだそうです。

ミサイル状のカプセルには救援物資が入っており、災害現場へ向けて直接発射! これによりすばやく物資を届けられる……とのことですが、安全面がちょっと心配かも!?

 

お次は消火ドローン。ビル火災等の現場に飛んでいき、長いノズルから消火剤を噴射!

まさに「はたらくドローン」ですね。

▲これらドローンの拠点となる車のイメージ図も展示されていました。消防車やはしご車とともに出動する日は来るのか!?

防災におけるドローンの活用は日本でも注目されていますが、今回見た災害用ドローンは非常にアグレッシブなものでとても驚きました。実際にはまだ使われてはいないそうですが、自信満々といった感じで堂々と展示されていました。

まだまだたくさん、異色のドローンたち!

バリエーションが一気に増えたUAV EXPO。その中には、「ドローン」の概念を覆すような異色のドローンたちもありました。

まず女子の目を引いたのは……こちら。

これは、光を放ちながら浮かび上がる、かわいらしいショー用のドローンです。形もコロンとして愛らしいです。中国では、実際にさまざまな催しで使われているそう。

▲花火のようにも見えますが、ひとつひとつがドローン。これは……“映える”っ!

これからの世の中で需要がかなり高いなと感じたのが、大気汚染の状態をドローンで測定&分析する総合サービス。実際に空気を採取して、PM1.0やPM2.5など、大気汚染の原因となる粒子物質の量を計測します。

▲かなり細かく計測・分析されています(赤い部分が大気の状態が悪いエリア)。天気予報や環境改善等に役立てるそう。

そして最後に、ツアーメンバー全員がざわついた「人が乗れるドローン」その名もEhang 216!

EHANG HOLDINGSの崔さんのお話では、操縦は基本自動で、訓練不要でタクシーのように飛行できる。しかしながら、当面は荷物だけを載せて、都市部の近距離輸送での使用を検討しているということでした。

同社は都市部のエアモビリティについても構想を広げているそう。

エアバス・エアタクシーが深センの空を飛び回る日もいつか来るかも!?

とにかく新しいものをどんどん創る。そのチャレンジが、ドローンの世界を変えていく

今回のUAV EXPOには、深センのドローン市場のすべてがわかるといっても過言ではないほどのドローンが集まっていました。

その中で強く印象に残ったのは「とにかくどんどん新しいものを創って発表していく」姿勢。

「えっ、こんなのアリ!?」というようなびっくりドローンであっても、創って、見せて、アピールすることで世の注目を集め、心強いパートナーや賛同者を得て、実用化へ進んでいくのではないでしょうか。

規制や法律の縛りなど、日本でのドローン市場開拓は慎重にならざるを得ない部分がありますが、このポテンシャルはぜひ見習いたいものです。

ドローンのある、ドローン前提の新しい世界が、まさに今ここ深センから生まれつつあるのだなぁと感じました。

次回の開催ではどんなふうに進化を遂げているのか、今から楽しみです!