センシンロボティクス、ドームとの協業により、スポーツ分野の新ビジネスモデル創出にドローンを活用

ドローンなどのロボティクス技術と先進技術を組み合わせた業務用ソリューション事業を展開するセンシンロボティクス(本社:東京都渋谷区、以下「同社」)は、スポーツ用品の卸売やアスリート向けの各種ソリューション提供を手掛けるドームと協業に合意し、スポーツ分野におけるドローンの活用を進めていく方針を明らかにしました。

センシンロボティクスの新たな柱「スポーツ」

同社は2015年10月の設立以来、『ロボティクスの力で、社会の「当たり前」を進化させていく。』というビジョンを掲げ、おもに「設備点検」「災害対策」「警備・監視」の3領域で、ドローンを核としたソリューションを展開してきました。

当メディアでも以前、同社の顧客業務の自動化を実現する統合プラットフォーム「SENSYN FLIGHT CORE」や、建設現場における安全確認・警備監視の実証実験の様子をお伝えしましたが、今回の提携により、上記の領域に新たに「スポーツ」が加わることになります。

「スポーツ×ドローン」で新たなビジネスモデルの創出と日本スポーツ界の振興を目指す

今回の協業は、同社が培ってきた産業用ドローン領域における知見と、ドームのアスリートサポートにおける知見とを融合させることにより、スポーツ分野における新たなビジネスモデルを創出することを目的としています。

その第一弾として、ドームの関連会社であるいわきスポーツクラブが運営する社会人サッカークラブ「いわきFC(東北社会人リーグ1部)」の戦術分析におけるドローン活用が発表されました。それによれば、ドローンを用いて試合や練習の様子を上空から撮影することにより、これまでにない視点からプレーをチェック、より高度な戦術の構築や、技術指導の質のさらなる向上に役立てるとしています。

ドローンで取得するデータの具体例として、ピッチ全体の俯瞰映像、ボールの動き、選手間の距離、状況別ポジショニング、ゴールシーンの振り返り等が挙げられており、これらデータの分析を通じ、FCいわきのチーム力強化をサポートする考えです。

同社の協業先であるドームは、スポーツ用品ブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店として有名ですが、それ以外にもアスリートのパフォーマンスを高める「パフォーマンスディレクション事業」など複数事業を擁し、自らを「スポーツコングロマリット」と位置づけています。ドームは「スポーツを通じて社会を豊かにする」というミッションの下、アスリートの悩みを解決することを目指しています。

同社はドームとの協業を通じ、いわきFCの事例で蓄積したデータやノウハウを、サッカー以外の他のスポーツにおける戦術策定などにも応用、日本のスポーツ界の発展に貢献していくとしています。

上:従来の視点 下:ドローンによるフィールド全体撮影

ドローンによる空撮で死角のないフィールド映像が取得可能に

個人的な話になり恐縮ですが、筆者は学生時代、ラグビー部のマネージャーとして活動していました。練習や試合の模様をビデオカメラで撮影し、選手全員で映像を確認・分析、練習メニューの検討や戦術の策定に繋げることを実際に行っており、その動画撮影はマネージャーの重要な仕事の一つでした。

通常、グラウンドに置かれた朝礼台の上に立ってビデオカメラを回していましたが、それでもさほど目線が上がるわけではありませんし、自由に動き回れる範囲も限られるので、フォーメーションの確認にはどうしても限界がありました。特にバックスの選手群が一列に並んでライン状に動いている場合や、モールやラックなど選手が塊状に折り重なって集まっているような場面では、必ずと言っていいほど死角ができてしまいます。

今回発表されたドローンによる上空からの撮影であれば、選手の動きを重なりなくとらえられますし、広いグラウンド内を全体が入るよう引いて撮影したり、特定の選手にフォーカスして撮影したりすることも可能になりますので、チーム全体の戦術策定に大きく貢献しうるものと考えられます。

また、同社は今後、ドローンによる撮影映像を、チーム強化のためだけではなく、映像を配信することによるスポーツファンへの新たな視聴体験の提供にも取り組む考えとのことですが、こういったコンテンツビジネスへの応用や、もしかするとグラウンドの設備維持(芝の傷みやすい部分の特定、芝の生育状況の上空からのチェック等)への応用も期待できるかもしれません。今後の広がりが非常に楽しみですね。