ドローン産業の未来が示された「Japan Drone 2017」 レポート

Japan Drone 2017
Japan Drone 2017(画像引用:http://www.japan-drone.com/index.html)

一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と(株)コングレおよび(株)スペースメディアジャパンは、2017年 3月23日(木)から3月25日(土)までの 3 日間、ドローン産業界向けの国際展示会「Japan Drone 2017」を幕張メッセ(千葉市美浜区)にて開催しました。

Japan Droneは、日本で初めての本格的な民生用・商業用のドローン市場に向けたイベントであり、日本のドローン技術を広く世界に発信すると同時に、ベンチャー企業の多いドローン産業にとっての実践的な商談の場を提供しています。また、各イベントや講演などを通じてドローンの安全な運用などに関する共通のルール作りを促進し、フライトショーケースなど、ドローンをより身近に感じられるようなイベントを積極的に開催しています。今回のイベントには、ハード、ソフト、サービスを提供する120以上を超える企業・団体が出展し、開催期間中の来場者数は9000人を超えました。

開催2回目となるドローンの祭典

会場となる幕張メッセ国際展示場5には、各社・団体のブースのほか、約20m四方のフライトショーケースエリアと、イベント用のオープンステージが設置されました。フライトショーケースエリアでは、ドローンの飛行体験会やドローンレース「Drone Impact Challenge」の2017シーズン第1戦が25日(土)に開催されました。また、オープンステージではドローンが撮影した映像による空撮コンテストの表彰式や、過去1年間に発表されたドローンまたは関連サービスの中から優れた製品やサービスを選ぶ「Best of Japan Drone Award」の表彰式を実施。ほかにも、さまざまなセミナーやパネルセッションが開催されました。

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以下では、各社の出展内容の一部をピックアップして紹介します。

DJI JAPAN

DJIでは、製品展示に加えて専用フライトケージ内でのデモンストレーションを行うなど、出展者の中でも一際大きなブースが設置されました。なかでも、大きな注目を集めていたのが「MATRICE 200」シリーズと農薬散布用の「AGRAS MG-1」です。

DJIブース専用のフライトケージ

MATRICE 200は、2つのジンバルを搭載できるほか、機体上面にもジンバルを積めるマルチジンバルマウントや、IP43規格準拠の防水防塵性能を備えています。また、FLIR社製の空撮用赤外線カメラ「ZENMUSE XT」に対応し、ソーラーパネルのホットスポット検出などを可能とします。インフラ点検や捜索救難活動での使用を想定し、ベーシックなMATRICE 200とマルチジンバルが搭載できるMATRICE 210が用意されています。

デュアルジンバルを備えた「MATLICE 210」

一方,農薬散布用のAGRAS MG-1は、折りたたみ式のボディでありながら、タンク内に最大10kgの液体を搭載することが可能で、防水・防塵・耐食性に優れています。また、A3フライトコントローラーが搭載し、農業での利用に最適化したアルゴリズムによって外部の振動で液体が揺れ動いた場合でも安定した飛行を可能とします。また、操作性を向上させ、初めてドローンを触る場合でも簡単に操縦できるように設計されています。

悪天候でも稼動可能な「AGRAS MG-1」

エンルート

(株)エンルートは、協業メーカー各社と共同で、農業・物資輸送・インフラ点検・測量など、さまざまなジャンルにカスタマイズした機体を展示しました。

2017年2月に発表された農薬散布用ドローン「Zion(ザイオン)AC1500」は、従来型のAC940-Dの液剤搭載量5Lに対して9Lの搭載を可能とし、50aを5〜6分で散布可能(農薬4L搭載時)な飛行能力を備えます。また、今回の展示では、機体に合わせてエンルートが独自に開発した粒剤散布装置も展示されました。

大容量タンクを備えた液剤・粒剤散布用ドローン「Zion AC1500」(左上)と粒剤散布装置(左下)

さらに、エンルートは、2016年に全国各地で実施された物資輸送の実証実験に参加しており、日本郵便の機体をはじめ、実験で使用された物資輸送用の機体を複数展示していました。

物資輸送用のプロトタイプ「Zion EX700」

テラドローン

テラドローン(株)では、GPSを内蔵した対空標識と、イギリスの固定翼型ドローンメーカーQuestUAV社製の固定翼機などが展示されました。

この固定翼機は、テラドローンとKDDIが共同開発したUTM(運行管理システム)、「4G LTE運航管理システム」に対応し、1回の充電で最大2時間ほどの飛行を可能としています。

QuestUAV社製の固定翼機(左)と対空標識(右)

普及率99%以上というKDDIの4G LTEネットワークを用いることで、ドローンで取得した映像や測量データを、個別のサーバーを介さずリアルタイムで確認・分析することを可能としています。また、ドローン向けUTMサービスを提供するベルギーのUNIFLY社と連携し、目視外飛行用プラットフォームの国際標準化を推進していく予定です。

ユークラフト

有限会社ユークラフトは、ドローンの操縦訓練や運用時の安全を守る「安全ドローンネット」を展示しました。

ドローンの操縦訓練や橋脚・トンネルなどの点検時の安全対策を目的とした製品で、カーボン製の支柱を基点に防護ネットを張りめぐらし、幅10m×奥行10m×高さ6mの安全な飛行スペースを設営可能です。総重量は80kgほどで、2人で作業した場合で20分ほどの組み立て時間を想定しています。価格は250万円で、カスタム製品のオーダーも可能です。

「ドローン安全ネット」の展示。同時開催されたJapanDroneAward2017で「ドローン産業支援部門 最優秀賞」を獲得した。

大成

大成(株)のブースでは、残業抑制などを目的とした巡回警備用のドローン「T-FREND」が展示されました。

大成は施設のメンテナンス業務などを行う企業で、残業の管理や施設の巡回警備にかかるコストを削減するソリューションとして、ブルーイノベーション、NTT東日本と共同でT-FRENDを開発しました。T-FRENDは,企業のオフィスを巡回飛行するドローンで、就業時間外の社員の退社を促し、夜間はオフィス内の監視を行います。機体の飛行軌跡やカメラが撮影したデータは、社内のネットワークを通じてクラウド上で管理されます。また,オフィス内を飛行する際はGPSを使用せず、あらかじめ設定されたコースをオフィスの立体地図や機体のカメラが撮影した画像を使って特定しながら自律飛行します。

メンテナンス会社ならではの着想から製作された「T-FREND」

リーグルジャパン

2D・3Dレーザースキャナーや距離・速度測定器を輸入販売するリーグルジャパン(株)のブースでは、ドローンが墜落した際にレーザースキャナーを守るエアバッグシステムの試作品を初公開。ドローンによるGPS測量サービスなどを手がける(株)日創建が実演を担当し,同社のドローン搭載型スキャナー「VUX-1」にエアバッグを装着して行いました。

プロポのスイッチ操作でエアバッグを作動できるため、機体が墜落してしまう急な場面でも対処可能です。エアバッグは炭酸ガスの圧力で瞬時に展開し、レーザースキャナーを包み込むように保護します。展開後は、時間とともにゆっくりとガスが抜けていき、自然と収納可能な薄さに戻ります。

エアバッグ展開時。エアバッグを押してみると、かなりの反発がある。
エアバッグ収納時

VUFINE

VUFINEは、装着型ウェアラブルディスプレイ「VUFINE+」を展示しました。

VUFINE+は、クラウドファンディングサービスKickstarterで2回の資金調達を経て開発されたウェアラブルディスプレイです。内蔵バッテリ式で最大90分ほど稼動し、720pの解像度に対応します。本体をメガネに装着し、映像機器からHDMIで入力する方式ですが、メガネをかけていなくても帽子などにクリップするだけで使用できます。また、ボールジョイントとピボットアームで視野角を調整できる「Docking Station」が付属します。

VUFINE+は、わずかな視線移動で映像を確認できるため、ドローンのパイロットが使うモニターとしての利用も想定されています。2017年3月24日からはDJI国内正規代理店であるセキドの直販サイトで販売され、Phantom4 PRO Plusなどへの対応を予定しています。

改良が重ねられた「VUFINE+」(画像引用:https://www.vufine.com/)

まとめ

前回のJapan Drone 2016では、ドローンの機体やカメラなどのハードウェアを提供する企業による展示が中心となっていましたが、今回はドローンを使ったサービス・ソリューションについての展示が目立ち、農薬散布や太陽光発電設備など、ドローンの産業用途への利用について各社がビジョンを示す形となりました。また、有限会社ボーダックの「HN1000TR:5.7GHz帯ビデオ無線伝送システム」が、来場者投票によるオーディエンスアワードを受賞するなど、ユーザーのドローン産業に対する期待の大きさを実感しました。

次回「Japan Drone 2018」は、2018年3月22日(木)から24日(土)にかけて、幕張メッセにて開催予定です。