この記事は、サンダーバード株式会社の代表取締役社長 山根洋平氏に寄稿いただきました。
ドローンによる事故などを受け、無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールである「改正航空法」が2015年12月10日に施行されて約1年。どれくらい飛行許可申請があったのかを調べてみた。
許可された申請は、国交省のホームページから確認できる。
■無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
ただ、こちらでは資料がPDF形式のため、Excelなどでもらえないかと国土交通省 航空局 安全部 無人航空機窓口に問い合わせたところ、「そのような対応はしておりません。」との回答。
では、「こちらがこの資料をもとに集計するのか問題ないか?」と聞いたところ問題ないとの返答。それならばと、PDFをExcelに変換し、平成27年度分、平成28年度分を一覧化し、集計してみた。入力規則がバラバラなため、多少の誤差はあると思うが概ね正しい数値だと思う。
集計期間 :2015年12月10日〜2016年11月21日頃
許可申請数:7,477件(集計時点)
申請者割合
まずは申請者の割合を見ていこう。意外にも、個人の申請が多いことに驚いた。
それだけ手に入れやすいものであり、誰しもが興味を持つものであるということが見て取れる。ホビーであったりビジネスであったり、用途は様々だと思うが、日本全国にこれだけのドローンユーザがいることは嬉しく思う。
申請機体
※1回の申請で複数機を登録している場合は、それぞれでカウントしている
続いて申請機体の機種を見ていこう。ここは想定どおり、DJI社のPhantom3、Inspire 1が圧倒的に多く、その人気の高さと使い勝手の良さを改めて感じることができた。私自身、Phantom3 Proからドローンを始めたクチだが、この機種の操作性には感動したのを覚えている。
国交省への飛行許可申請の際、飛行させる機体の登録も必要となっているが、DJI社を始めとした一部のドローンは書類の一部が省略可能な機体として認定されていることも大きかったのかもしれない。
ただ、Parrot社や3DR社の機体も名を連ねている。どのメーカーも新しいドローンを開発・リリースしており、今後のメーカー同士の性能競争も楽しみである。
申請内容
132条
1A:進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、
円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空
1B:地表又は水面から150m以上の高さの空域
2:人又は家屋の密集している地域の上空
132条の2
1:夜間飛行
2:目視外飛行
3:人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行
4:催し場所上空の飛行
5:危険物の輸送
6:物件投下
最後に、申請事由を見てみたい。132条 1B:150m以上の高さの空域の飛行許可申請は7,477件中2件のみで、D.I.D地区での飛行、そして30m以上の距離が確保できない飛行の申請が最も多かったことも分かった。
今後、ドローンがどのように進化し、法律がどのように適応していくのか、私もパイロットのひとりとして注目していきたい。