テラドローン株式会社と東急不動産ホールディングス株式会社、オムロンヘルスケア株式会社が、AEDを搭載した救急用ドローンによる飛行実験を実施しました。東急不動産ホールディングス株式会社によると、個人住宅へ向けたドローンによるAED運搬実験は日本で初めての取り組みとのことです。
今回の実験が行われたのは、千葉県大網白里市にある一般住宅地とゴルフ場の複合開発地、季美の森。「ゴルフ場でプレーヤーが倒れた場合」と「季美の森の住宅地内で住民の方が倒れた場合」を想定し、クラブハウスからゴルフコースおよび個人住宅に向けてドローンによるAED運搬を行いました。また、これまでの行っていたゴルフカートによるAED運搬や救急車を呼んだ時と比較して、ドローンによるAED運搬の有効性を確かめました。3社の発表によると、ドローンによるAED運搬の実験は成功し、従来の方法に比べておよそ1/5ほど運搬時間を短縮できたとのことです。
実証実験の概要
日時: 2018年7月31日(火) 15時~16時30分
実験場所: 季美の森ゴルフ倶楽部(千葉県大網白里市季美の森南2丁目49)
実験主体: テラドローン株式会社
実験協力: 株式会社東急不動産R&Dセンター、オムロン ヘルスケア株式会社、ミライズキミノモリ
実施監修: 一般財団法人日本AED財団
実験内容:
①季美の森ゴルフ倶楽部の10番ホールのグリーン上でプレーヤーが倒れたと想定し、クラブハウスからドローンでAEDを運搬。ゴルフカートでの運搬時間と比較し、ドローンによるAED運搬の有効性を計測する(距離:約450m)
②季美の森の住宅地内でAEDを必要とする方が発生したと想定し、ゴルフ場のクラブハウスから実験対象
住宅までドローンによるAED運搬を実施(距離:約350m)
実験結果
10番ホールのグリーンへのAED運搬実験では、1分44秒でグリーン上空へ到達、2分11秒でAEDを届ける事が出来ました。今回は安全の為ドローンの降下を慎重に実施しましたが、もし降下時間を早めればさらに早く届ける事が可能となる見込みです。
また季美の森の住宅へのAED運搬実験では2分22秒でAEDを届ける事が出来ました。事前に近隣消防署から実験対象となる住宅までの移動時間を計測(信号待ちの際には計測を停止)したところ、10分10秒の時間を要しており、ドローンによるAED運搬は、救急車到着までの間に、AEDによる応急処置を早期に実施できる手段として、その有用性を確認する事が出来ました。
今回は両実験とも短距離での実験でしたが、距離が伸びるほど、また更なる技術向上によりドローンによる運搬は有効性が増す事が期待されます。日本AED財団によると、心停止の救命率は電気ショックが1分遅れるごとに10%ずつ低下する為、AEDの適正配置が難しい郊外団地やスポーツ施設などにおいては、ドローンによるAEDの運搬は、救命率向上に向けた有効な手段であると確認する事が出来ました。
実験で使用したドローンとAED
機種名 :MATRICE 600 Pro
寸法 :1668 mm x 1518 mm x 759 mm(H・W・D)
重さ :9.1 kg (バッテリー含む)
最高速度・最高高度:18 m/s (無風時)、高度2,500m
製品名:自動体外式除細動器「レスキューハート HDF-3500」
外形寸法:縦200×幅180×高さ50mm
本体質量:約1.1kg(除細動パッドパックを含む)