ドローン初心者からのステップアップ ~その②:空撮の前に知っておかないといけない法律~

ドローン初心者向けの新連載「ドローン初心者からのステップアップ」シリーズ、第2回目の今回は、気になる「法律」の話です。
「ドローン初心者は何から始めるべきか?」シリーズでも少しだけ取り上げましたが、もう少し詳しくお話したいと思います。

 

航空法

まず押さえておきたいのが、航空法です。国土交通省所管の法律です。
そして、「3つの飛行禁止空域」「6つの飛行禁止方法」があるということです。
それぞれポイントを解説したいと思います。

尚、無人航空機の飛行ルールや、よくある質問や、運用における解釈など、国土交通省のHPに掲載されている情報は一度目を通しておくことをお勧めします。

3つの飛行機禁止空域

空港周辺人口集中地域(DID:Densely Inhabited District)の上空、そして150m以上の高さの空域は、無人航空機の飛行が禁止されており、よく「3つの飛行禁止区域」といわれています。
ただし、国土交通大臣の許可が得られれば飛行はできるので、「禁止」というよりは「申請が必要」と捉えたほうがよいのかもしれません。

飛行が禁止されている区域はWeb上で確認できます。改正当時から有名なのはSORAPASS(ソラパス)」というサービスです。他にもスマートフォンアプリも沢山でています。
意外な場所が許可が必要な場所であったりするので、無人航空機を飛ばす場所が決まったら、早めに確認する習慣をつけるとよいでしょう。

(図の出典:国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」より)

6つの飛行禁止方法

無人航空機にとっての航空法で、もっとも重要なポイントのもう1つが「飛行の方法」です。

禁止されている飛行方法がありますので注意しましょう。

・夜間飛行

・目視外飛行

・物件から30m未満しか離れていない飛行

・イベント上空飛行

・危険物輸送

・物件投下

これらはすべて、禁止されている飛行方法です。
ただし、これも、国土交通大臣の承認が得られれば飛行はできるので、「禁止」というよりは「申請が必要」と捉えたほうがよいのかもしれません。

このなかで特に注意すべきことは、「目視外」です。目視というのは、肉眼と言った方が誤解が少ないかと思います。
モニター画面を見て確認する方法は「目視」ではなく「目視外」になりますので、ご注意ください。

(出典:国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」より)

罰則について

これまで無人航空機にとっての航空法を見てきましたが、これらに違反すると50万円以下の罰金が科せられることがあります。

よく理解して飛行させるようにしてください。

理解への一番の近道は、自身で「許可・承認」申請をしてみることです。
電子申請でも申請できますので、10時間以上の操縦経験を積んでから、是非挑戦してみてください。

 

小型無人機等飛行禁止法

次に押さえておきたいのが、小型無人機等飛行禁止法です。警察庁所管の法律です。
正式名称は

「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」

というものですが、非常に長いのでよく略して「小型無人機等飛行禁止法」と呼ばれます。

国の重要な施設など、施設を中心に飛行を禁止するための法律です。

(出典:警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」より)

対象施設

この法律が対象としている施設は、大きく3種類あると理解するとよいでしょう。
1つ目は「国の重要な施設」、2つ目は「外国公館」、3つ目は「原子力発電事業所」です。

法律の第二条に定義が書かれていますし、対象施設のある場所の地図は警察庁のホームページから閲覧できますので、一度目を通しておくとよいでしょう。

先ほどの航空法との大きな違いは、「200g未満でも対象になる」点です。

罰則について

小型無人機等飛行禁止法に違反すると、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金が罰則として適用されます。
航空法では罰金のみでしたが、小型無人機等飛行禁止法では懲役もありますので、注意してください。

 

電波法

今度は「電波法」です。所轄官庁は 総務省 になります。
本当に詳しく知ろうとするのであれば、「無線従事者免許」を受験または講習を受けるのが一番よいですが、ここではドローンに特化して概要のみ解説いたします。
詳しくは総務省のHPに記載がありますので、公式な情報はここを確認するようにしましょう。

(出典:総務省「電波利用ホームページ」より)

免許証と免許状

「免許証」「免許状」は、別物です。前者は個人に紐づくもので、後者は人だけでなく機器も含めたものになります。
無線従事者に対して付与されるか、無線局に対して付与されます。

技適マーク

日本の法律に適合している機器かどうか、見分けるときの基準の一つである技適マークも重要です。

 

技適マークがついていないものを使用してしまうと、電波法に違反する恐れがあります。

UAVは海外メーカーのものが多いのが現状です。

知らないうちに日本の法律に適合しない電波を使ってしまっていた、ということがないように気を付けましょう。

(出典:総務省「技適マーク、無線機の購入・使用に関すること」より)

電波法の目的や、言葉の定義については、もし免許を取られるのであれば必須の知識です。
また、ゴーグルを使ってUAVレースやマイクロドローン撮影をしようとする場合は、開局申請という手続きも必要になってきます。

 

罰則について

もし免許なしで無線局を開設してしまった場合、例えば免許を持っていないのに5GHz帯の映像伝送機器でUAV撮影をしてしまったような場合、電波法第110条第1項にあるように一年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることがあります。

 

その他の関連法令

他にも、下記のようにたくさん法律はあります。
国の法律ではなく自治体の条例が関係している場合(特に公園)もありますので、要注意です。
長くなるのでここでは詳しくは述べません、興味ある方は関連先リンクや筆者のホームページのアーカイブをご覧ください。

 

まとめ

今回の記事のまとめです。

航空法のポイントは、「3つの飛行禁止区域」と「6つの飛行禁止方法」
小型無人機等飛行禁止法は、200g未満のドローンも対象となる
電波法に違反していないかどうかは、技適マークを確認
・他にも関連する法律は多く、自治体の条例などにも注意

次回は、空撮に出かける前の練習について解説していきます。

 

<関連先リンク>
無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール , 国土交通省
無人航空機に関するQ&A , 国土交通省
無人航空機に係る規制の運用における解釈について , 国土交通省
小型無人機等飛行禁止法関係 , 警察庁
電波利用ホームページ , 総務省

航空法 →特に 第百三十二条 , e-Gov
小型無人機等飛行禁止法 →特に 第二条 , e-Gov
電波法 →特に 第二条・第四条 , e-Gov
道路交通法 →特に 第七十七条 , e-Gov
河川法 →特に 第二十四条 , e-Gov
民法 →特に 第二百七条 , e-Gov
刑法 →特に 第百二十九条 , e-Gov
個人情報保護法 →特に 第十七条 , e-Gov

アーカイブ →「ドローン(UAV/UAS)概論」シリーズ ,  高山ドローンリサーチ株式会社

<過去の「ドローン初心者からのステップアップ」シリーズ>
ドローン初心者からのステップアップ ~その①:空撮用ドローンを買おう!~