ドローンなどのロボティクス技術と先進技術を組み合わせた業務用ソリューション事業を展開するセンシンロボティクス(本社:東京都渋谷区、以下「同社」)は、ゼネコン(総合建設業者)であるフジタと共同で実証実験を行い、実際の建設現場における安全確認・警備監視において、同社が開発した全自動運用ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」の有効性が認められたと発表しました。
ドローンソリューションを提供するテックベンチャー、社会課題を「DaaS」で解決
同社については当メディアでも以前、顧客業務の自動化を実現する統合プラットフォーム「SENSYN FLIGHT CORE」の新製品提供開始のニュースをご紹介しました。
『ロボティクスの力で、社会の「当たり前」を進化させていく。』というビジョンを掲げる同社は、社会課題が存在し、自動化・汎用化のしやすい分野として「設備点検」「災害対策」「警備・監視」の3つを主要注力領域に据え、これら領域においてドローンを核とした各種ソリューションサービスを展開しています。
同社が特徴的なのは、各種ソリューションを「DaaS(Drone as a Service)」として展開することにより、顧客がドローンや各種機材を購入したり、自社内システムを構築したりする負荷をなくしている点。これにより、顧客が「最新のドローンソリューション」を「必要な時に・必要なだけ利用」することができ、機材やシステムの「運用・保守から解放される」ことがメリットです。
全自動運用型ドローンシステム、ゼネコンの工事現場においてその有効性を証明
今回の実証実験は、福井県敦賀市の北陸新幹線・敦賀車両基地建設現場にて、全自動運用ドローンシステム「SENSYN DRONE HUB」の4つの基本機能である「ハッチ開閉・自動離発着・自動充電・データ転送」の挙動や精度を確認することを目的として行われました。
また、現在ドローンは「目視外飛行(パイロットの目に見える範囲から外れたエリアでの飛行)」が制限されていますが、産業分野におけるドローン普及が将来的に同規制の緩和を後押しする可能性を視野に入れ、「SENSYN DRONE HUB」が提供する「スケジューリング機能(飛行ミッション予約機能)」の検証もあわせて実施されました。
「SENSYN DRONE HUB」は、ドローンの機体、基地(ドローンを格納し、自動離発着や自動重電にも対応する自動開閉型のステーション)、制御ソフトウェアや業務アプリケーションが一体となった統合ソリューションで、あらかじめ設定されたルートへの自動飛行、画像・映像の撮影が可能です。
ゼネコンであるフジタ側の「大規模な建設現場において、設備の点検や警備のための監視にかかる負荷を軽減したい」といった課題を解決しうるものとして、今回の共同実証実験が行われたものです。
実証実験の結果、「SENSYN DRONE HUB」の4つの基本機能「ハッチ開閉・自動離発着・自動充電・データ転送」が計画通りに作動することが確認されたほか、定刻になるとドローンが自動的に離陸し、あらかじめ設定されたルートに沿って正確に飛行した後、自動的に基地に戻り完全自動で着陸できることも確認されました。
建設業界の課題解決に向けた一歩
建設業界では現在、働き手の高齢化や人手不足が非常に深刻になっており、ICTの概念を導入した自動化や効率化の実現が課題となっています。工事現場は、工事の進みによって日々状態が変化すること、また建物の完成が近づくにつれ遮蔽物が増えてくるために地上からの目視による現場確認が難しくなってくること、等もあり、ドローンを活用した現場警備や設備点検、出来形確認(※)に注目が集まっています。
同社では今回の実証結果を踏まえつつ、フジタからのフィードバックも取り込みながら、より現場のニーズに則した機能をひき続き開発していく予定であり、建設現場の困りごと解決に向けていっそうの弾みがつくことが期待されます。
※出来形(できがた):施工対象となる建造物の工事施工が完了した部分のこと