PRODRONEとTERRA DRONE、LG U+との協業によるクラウド型ドローン管制システムを事業化

記者会見で解説を行うチェ・ジュシク氏(LG U+副社長、写真左)

株式会社プロドローン(以下、PRODRONE)は、韓国の通信事業社LG U+、UTM(無人航空機運行管理システム)などの開発を手掛けるテラドローン株式会社(以下、TERRA DRONE)と協業し、クラウド型ドローン管制システムの事業化を開始しました。このシステムは、TERRA DRONEが提供するクラウド型UTMと、PRODRONEが開発したスマートドローン本体およびドローンサービスプロバイダー用のFOS(運行管理システム)によって構成されています。

クラウド型ドローン管制システムの事業化に際し、LG U+は2017年11月21日、ソウル龍山区の本社で記者発表会を開催。クォン・ヨンス社長、チェ・ジュシク副社長らが出席し、目視外飛行や夜間でも安定した災害監視・測定、物流輸送などが可能な「U+スマートドローン クラウド型ドローン管制システム」として、韓国初の商用化を発表しました。

また、PRODRONE製のLTE搭載ドローンを用いたデモンストレーションが行われ、遠隔地での離陸から目的地での任務遂行、帰還までを自律飛行で達成する過程や、関連する事業計画が発表されました。

PRODRONE製のLTE搭載ドローン

事業計画の概要

・クラウド型ドローン管制システムを通し、目視外区域でもドローンの位置を検出。サーバーに通知して操縦可能に
・PC 、タブレット 、スマートフォンなどの様々なデバイス機器で、クラウド型ドローン管制システムへ接続可能に
・IPTVを通し、PRODRONE製LTE搭載ドローンが撮影中のFHD高画質映像を、リアルタイムで視聴が可能に(世界初)

記者発表でデモンストレーションを実施

①自律飛行による目標物の発見を3分で成功

韓国ソウル上岩洞空公園で、赤色の上着を着用した6歳男児が行方不明と想定しクラウド型ドローン管制システムのデモンストレーションが行われました。LG Uplus本社に連絡が入った後、ドローンを自律飛行させ、迷子の発見に3分で成功しました。
リアルタイム映像で行方不明の子供を確認し、ドローンは計画された経路の自立飛行を終えて無事帰還。PRODRONEサーバーからドローンの飛行経路上の機体情報(機首方向、高度、緯度、経度、飛行速度、飛行計画進行状況、バッテリ電圧、LTE電波状況、風向と風速、温度等の気象情報)がリアルタイム配信され、緯度と経度の情報も表示されます。

LG U+のグォン・ヨン・フン ドローン事業部長は、「上岩洞空公園は、サッカー球場でいえば約20個分の大きさとなり、このような広い場所をわずかな時間でスキャニングできるソリューションはドローン以外にない」とし、「失踪した子供を見つけるといった社会貢献の分野でも、クラウド型ドローン管制システムの活用が大きく増えると考えている」と述べました。

前日リハーサルの様子

②数百キロメートル先の遠隔操作も可能

LG U+スマートドローンは、LTE通信網を活用し、ドローンの位置情報をリアルタイムで把握します。航空機管制システムと同様の仕組みで運用され、ネットワークに接続していれば、数百キロ離れているドローンを自由に操縦することができるほか、目的地を入力するだけでドローンの離陸から飛行、帰還までの全過程が自律的に行われます。
また、危険を回避するための機能も備えており、飛行中にほかのドローンや鳥類などを認識するとその場で停止して回避します。さらに、飛行状況によっては旋回して帰還、パラシュート展開による緊急着陸なども可能です。
PCやタブレット、スマートフォンなどの端末にも対応し、PRODRONE製FOSが提供するAPIに対応したUTMであれば、汎用システムでも遠隔操作が可能です。

LG U+のチェ・ジュシクFC(Future and Converged)部門長は、「クラウドドローン管制システムは、ドローンの産業が運送や物流業界では、警備・測量・安全点検や災害監視などの既存産業のパラダイムを変えることができる起爆剤になるだろう。ネットワークとソリューションに集中し、5G時代の中核サービスとして位置づけたい」と述べました。

5G時代を見据えたビジネス展開

韓国では、2017年11月10日より「ドローン特別承認制」が施行され、安全基準を満たしていれば、夜間および目視外飛行が可能となりました。
LG U+は、航空安全法改正案の施行に合わせて、クラウドドローン管制システムを様々な産業分野・領域へ拡大する予定です。具体的には、山間地域における宅配サービスや緊急物資配送などの運輸・物流、災害脆弱地域モニタリングなどの安全点検や、海岸水深測定・建築などの測定領域に進出する方針です。

今後、5Gが導入されれば、ドローンを管制しているWebサーバーとドローンとの間の処理反応速度が向上し、より安定的に大量のデータ転送が可能となります。また、複数のネットワークとリアルタイムで通信できるため、安全管制モニタリング事業など、鮮明な映像と正確なコントロールを必要とする産業において、急速な需要拡大が予想されます。

■問い合わせ先

株式会社プロドローン
・ホームページ:https://www.prodrone.jp/