2017年6月に発売されたMATRICE 200/210は、空撮による点検や検査、データ収集などの産業利用を対象としたエンタープライズ向けのプラットフォームです。耐候性と防水性を備えた折りたたみ式の機体は、持ち運びも組み立ても容易に行えるため、様々な環境下で行われる現場作業に適しています。
DJIのMATRICE 200シリーズは、「最大限の冗長性と信頼性を提供する」というコンセプトのもと、IP43等級の堅牢設計に加え、電子コンパス、GPS、デュアル内蔵計測ユニット(IMU)、3つの気圧計を含む20個以上のセンサーを内蔵し、安全性の高いフライトを実現しました。
今回ご紹介するM210には、単一下方ジンバルマウント、デュアル下方ジンバルマウント、単一上方ジンバルを含む複数のペイロード構造が採用されています。また、サードパーティ製センサーとアクセサリに対応する追加の接続ポートを用意されており、機体上部に取り付けられる追加のセンサーとペイロードにも対応予定です。さらに、M210 RTKには、cm単位の高精度なナビゲーションが可能なD-RTKモジュールが使用可能です。
基本スペック
本体価格 |
応相談(200万円前後~) |
重量 |
3.8Kg |
最大飛行時間 |
38分(フルペイロード時は24分) |
最大解像度 (X5S搭載時) |
静止画:2080万画素 動画
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最大伝送距離 |
7km |
障害物センサーの有効距離 |
30m |
主な機能 |
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オススメ用途 |
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ポイント
- IP43等級、完全防水仕様の“全天候型”ドローン
- 自動発熱バッテリーの採用で氷点下でも稼動
- DJI初の上向きのジンバルマウントを搭載
- 最大ペイロード2Kg
カメラについては、Inspire2と同じく、最新のZenmuseカメラに対応しています。X4S、X5Sに加えて、高感度赤外線画像の撮影が可能なZenmuse XT、最大30倍光学ズームと6倍デジタルズームを備えたZ30を搭載可能です。
ジンバルコントローラーは保護のために機体本体と一体化しており、障害物を回避するため、機体の下部と前部に2台のステレオ・ビジョンシステム、上方向赤外線センサーを装備しています。デュアル構成のバッテリーは自動発熱機能を備えており、氷点下-20〜45°Cでの稼動を可能にしました。また、冗長化バッテリーシステムにより、充電中でも機体に電力を供給できます。
ソフトウェアについても最新のものが採用されています。従来の「DJI GO 4」に加え、新アプリ「DJI Pilot」に対応しました。DJI Pilotは、産業利用における飛行体験とユーザー体験を最適化するために設計されており、アプリ内での飛行計画の立案のほか、インターフェースを数回タップするだけで、複雑なフライトタスクを計画できます。
動作テスト
ここからは、実機による検証の様子をお届けします。グレーのライトバンを被写体に用い、アクティブトラック(自動追跡機能)によるノーズインサークルを検証しました。
検証1:ノーズインサークル
まとめ
Phantm4 ProやInspire2とは違い、空撮だけでなく本格的な産業利用が可能な点が、MATRICE 200シリーズのメリットです。
送電線や通信電波塔、橋梁などの点検に加え、高い安定性や耐候性、防水性を活かし、風力タービンや海上の石油掘削施設などの点検や検査も全ての角度から行なえます。さらには、ビジュアルセンサーや赤外線センサーを使い、火災や自然災害における捜索救援活動の潜在的な危険性を認識。集めたデータをもとに現場責任者の判断をサポートする、といった使い方もできます。
ただし、M200/210は非常に高価(自動車1台分の価格に相当!)な機体です。導入を検討する場合は、数年間にわたる運用計画を立てた上で、信頼できる代理店に細かくヒアリングをしてもらうことをオススメします。
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