農機大手のクボタが、農薬散布ドローンの販売を開始すると発表しました。
今回の農業用ドローン参入にあたってクボタが大阪市内で公開した試作機は、幅1.6mで6基の回転翼があるタイプのヘキサコプター。オペレーションは自動操縦ではなく、人が操縦する仕組みを採用しています。バッテリーで駆動し、1ヘクタールの水田に10分で農薬が散布可能。クボタが企画やデザインを担当し、防除機メーカーの丸山製作所と産業用ドローンのプロドローンが設計と組み立てを手がけます。
農業用ドローン参入の背景
従来の小中規模農家向けではタンクを背負って農薬をまくタイプが主流ですが、農業従事者への負担が重く、農薬の吸い込んでしまうことによる健康リスクも懸念されていました。一方で、最近は無線で操縦する小型ヘリコプターでまく方式が増えてきており、国内で約2700機が登録され、水田の農薬散布面積の1/3を担っていますが、価格が1機あたり 1200万円前後と非常に高価でした。
近年、担い手農家の増加により農業の大規模化が進む中、農業の効率化や精密化が求められており、今後、陸上での防除に加え、空中からの防除も進むことが期待されています。
ドローンはヘリと比べて1回の飛行時間は短いものの、低価格で小回りが利くなどの利点があります。国内の農業人口はこの5年で2割減り、平均年齢も67歳と高齢化が進んでいます。海外との競争に勝ち抜くためにも、より負担が軽減できる農機が求められており、各社は開発にしのぎを削っています。
今後の販売計画と展開
クボタによると、2017年の夏ごろから国内向けに50台を限定販売。農機メーカーの強みを生かして販路を拡大し、平成31年をめどに年間1千台を売る目標。
将来的にはドローン単体としての価値の提供だけでなく、農薬散布以外にも多用途で活用できるドローンを開発し、精密農業への取り組んでいく予定。クボタの新しい営農支援サービス「クボタ・スマート・アグリシステム(KSAS)」とドローンとの連動により、散布計画の作成、散布履歴の確認、リモートセンシング 技術による植生診断(葉色判定)など、区画ごとの最適な作業アプローチを提案し、高品質・高収量を実現するとともに、安心安全な農作物づくりに貢献していくとのことです。
【プロドローンの概要】
会社名 | 株式会社プロドローン |
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設立 | 平成27年1月15日 |
所在地 | 名古屋市中区新栄町2-4 |
代表者 | 代表取締役社長 河野雅一 |
事業内容 | 産業用ドローンシステムの研究・開発・製造、産業用ドローンシステムのコンサルティング、産業用ドローンに関する各種受託開発及びODM、保守メンテナンス |
【丸山製作所の概要】
会社名 |
株式会社丸山製作所 |
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創業 |
明治28年 |
所在地 |
東京都千代田区神田三丁目4番15号 |
代表者 |
代表取締役社長 尾頭正伸 |
事業内容 |
農業用機械(防除機、林業機械ほか)、環境衛生用機械、消防機械、工業用機械、洗浄用機械、建設機械、原動機、自動車その他農業関連車輌の製造など |