「国際ドローン展」視察レポート2!ユニークなドローンソリューションをまとめてご紹介!

4月17日(水)~19日(金)の3日間 、千葉県・幕張メッセで開催された「国際ドローン展」。前回の記事では、高精度の測量ソリューションや、軽量化・小型化された農業用ドローンの様子をレポートしました。今回は、前回記事でご紹介しきれなかったユニークなドローンソリューションを一挙ご紹介します。

ドローン×物資輸送、その相手は「シカ」!ドローンによる鳥獣害対策ソリューション

今回、国土交通省認定講習団体JUAVAC(日本UAV利用促進協議会)のアライアンスパートナーとして出展していたスカイシーカー。DJI JAPAN社パートナー企業でもあるスカイシーカーが、2018年のJapan Droneで出展していた「QS8」の様子は、以前当メディアでもレポートしました。
QS8は推奨6kgまで積載可能なコンテナを搭載した8枚羽ドローンで、災害時に救援物資等を運搬する想定とお伝えしましたが、今回の展示は農水省「革新的技術開発・緊急展開事業」での実証研究の1つとして開発された案件で、コンソーシアムメンバーである長崎県と五島列島で共同開発されたQSシリーズのコンテナ部分を3つに区分したもの。それぞれ独立したコンパートメントとすることで、なんとこれをシカのエサ箱とし、上空から3回に分けてエサを撒き、シカを箱罠へ誘導するのだとか。

もともとスカイシーカーは大日本猟友会とのつながりが深く、シカやイノシシの生息域調査向けにドローンから撮影した画像データを解析し個体数を判断する「シカカウンター」など、ユニークなソリューションが得意ですが、今回のソリューションもその延長線上にあるもの。長崎県との共同開発案件とのことで、すでに五島列島で上空からのエサ撒き実験を実施しているそうです。
農作物の鳥獣被害に悩む自治体は多く、罠による捕獲・駆除を行わなければならない場合もあるのですが、その際のエサ撒きは、なんと市区町村の担当者がつど現地まで赴いているのだとか。エサ撒きのためだけに山林までわざわざ足を運ぶ手間たるや…容易に想像がつきますよね。そうした場面での人手不足解消、業務効率化にも大いに貢献しうるスカイシーカーのソリューション。農作物鳥獣被害対策へのドローン活用がさらに広がった格好です。

※QSシリーズ:実際の災害現場における緊急物資の輸送や被害状況確認のため、DJI JAPAN(株)、あきる野市、スカイシーカーの3者で共同開発した産業用ドローン。執筆時点で、4枚羽の「QS4」と8枚羽の「QS8」のラインアップ

放送に耐えうる画質を追究した結果、ドローンは「有線」に

ソニーと、ロボットベンチャー・ZMPとが母体のエアロセンスが紹介していたのは、有線ドローン「AEROBO ONAIR(エアロボオンエアー)」。4K映像を、非圧縮・リアルタイムに伝送できるのが強みです。ソニー系列ということもあり、メディア系のお客さまの利用が多いそうですが、このAEROBO ONAIR、機体が長いケーブル(光ファイバ・電力複合ケーブル)に接続されており、このケーブルを介して給電と通信を行うしくみになっています。

なぜ、あえて「有線」?という問いに対し、「どこかに飛んでいってしまう心配がない」「有線給電なので長時間の連続飛行・連続撮影が可能」だから、とのこと。昨今は、日本でも近く開始予定である5G(第五世代)携帯電話通信を活用して、ドローンの撮影映像をワイヤレスにリアルタイム配信しよう、といった試みも出ていたり、また、長時間フライトに耐えうるガソリンエンジンドローン等も登場していたりする中で、リアルタイム伝送性と長時間性とを追求した結果の有線接続ドローンは、筆者的には「逆転の発想」とも言うべきソリューションでした。

水中ドローンのためのスクール発足!水中での調査・点検・探査を安全に行うための人材育成過程

最後にご紹介するのは、水中ドローン「Gladius Mini(グラディウス・ミニ)」。(なんだ、「Japan Drone 2019」の記事でも読んだけど)という声が聞こえてきそうですが、今回お伝えしたいのは、このGladius Miniのための民間資格「Gladius Camp」が創設された、ということ。

水中・海中における調査・点検・探査等におけるドローン利用が増えつつあるという背景を踏まえて、Gladiusの機能を熟知し安全に操縦するための一定の技術水準を備えた人材を育成することが目的です。こちらに合格すると、民間資格「水中ドローン安全潜航操縦士」が取得できるとのことです。
今後はもしかすると、このように専門的な分野に特化したドローンの講習や資格のようなものが増えてくるのかもしれませんね。