石川県白山市。この地域も実に趣のある場所です。
ジオパークにも認定されたこの地は、深い峡谷に青碧の川が流れ、峡谷の両端には田園風景が広がり、得も言われぬ美しさを演出します。
今回は、峡谷の中に轟々と水しぶきをあげる、綿が滝(わたがたき)をご紹介します。
水しぶきを全身に浴びる!滝の迫力!
滝の高さは32m。滝としてはそれほど高くはありませんが、遊歩道からちょっと身を乗り出すだけで、冷たい水しぶきと、水の落下が巻き起こす風圧とが、滝の偉大さをまざまざと感じさせてくれます。
滝の名前の綿が滝(わたがたき)は、「綿をちぎって落としたような滝」というところから名付けられたと言われていますが、筆者が訪れた日は水量も多く、綿のような可憐で柔らかいイメージよりは、圧倒的な雄々しさを感じさせてくれました。
滝壺近くには、その滝壺を目隠しするように、巨大な岩がせり出していて、正面から撮影するには、岩を回り込むか、上から見下ろすかのアングルになります。ここではドローン空撮を志す者としては、うまく岩を回り込んで、岩の向こうに滝壺が現れるシーンを撮影したいところです。
GPSが入らない。さてどうしよう。
さて、水面に近いほど、GPSの捕捉は難しくなります。狭い峡谷は、両脇の高い崖が電波を遮り、GPS捕捉のためには、ある程度の高さまで上げないと捕捉できません。しかし、撮影したい映像としては、川を低くさかのぼりながら、岩を回り込んでの滝壺の構図。この一連のルートは、GPSが最も入りにくい状況です。
GPSには頼らない。基本はATTIで。
この撮影に、DJI Phantom4 Proで臨みます。水面の光の反射が機体を上下に動かしてしまうので、下方センサーは切ります。
また、せり出した岩に近づいて回り込みたいため、障害物センサーも切ります。
これで、準備が整いました。センサー類が反応することによる、カクっとした動作がなくなることで、スムースに川を上って滝の撮影ができます。
近影の激しさに対して、遠めの癒しの映像も
滝壺から150mほど川下をくだった場所に展望台があります。ここから見る滝も趣があります。
展望台から滝に向かって空撮するのも、また実に魅力的な映像となります。
峡谷の真ん中に厳かに絶え間なく落ちる滝の様子を、そのすき間を縫うように近づき、俯瞰していくという映像も撮影できます。
周囲の木の高さと、枝の状況を見極めて空撮します。思った以上に空間はありますが、離陸地点から滝までの間は峡谷のロケーションで狭く見えます。焦らずにモニターと目視を交互に、滝まで近づきます。
木々と滝と、空と雲が、静かな峡谷に滝音だけを響かせて、癒しの映像を空撮してみましょう。
最後に、綿が滝の滝壺への映像です。
綿が滝の住人です。