「空撮」をより身近な楽しみへと変化させたドローン。最近では、技術の発展に伴って価格が落ち着いてきており、200g以下でも4K動画の撮影に対応した機種が販売されるなど、コストパフォーマンスがかなり向上しました。
しかし、選択肢が増えた分、どんなドローンを選んでいいか悩むポイントも増えてしまいます。さらに、個人利用ならともかく商業目的の空撮を行う場合は、クライアントの予算や目的に合わせて最適な機材を選択する必要があります。
そこで、DRONE MEDIAでは、空撮事業やドローンのECサービスを手がける株式会社FLIGHTSの協力のもと、約20万円で購入できるスタンダードモデルから、産業用のハイエンドモデルまでのドローンを徹底比較しました。
やっぱりDJIが圧倒的!?
現場で使えるドローンの選び方とは
空撮映像は、TV放映や映画用の素材として使われることが多く、撮影機材であるドローンには、概ね下記の条件を満たすことが必要とされています。
- 1200万画素以上の静止画撮影に対応
- フルHD(1920×1080ピクセル)、30FPS以上の動画撮影に対応
- 機械式3軸ジンバルを搭載している
- 衝突防止のための障害物センサーを搭載している
また、近年では、より高精細な映像の需要が高まっていることから、上記に加えて4K解像度(3840×2410ピクセル以上)、60FPSの動画撮影への対応が求められることもあるそうです。
2018年1月現在、4K動画の撮影に対応するドローンで最も安価な機種は、Ruix Technologyの「Kudrone 9611」(2万7400円)となっています。しかし、動画のフレームレートが30FPS以下に限定されるほか、3軸ジンバルや障害物検知のためのセンサーも未搭載です。
ジンバルを搭載した4K撮影対応機種では、DJIの「Mavic Air」が約12万円、GoPro社のアクションカメラ「HERO6 BLACK」を搭載した「Karma QKWXX-601-JP」が17万8200円で販売されていますが、GoProはKarmaの在庫が無くなり次第、ドローン部門から撤退することを表明しています(Karmaのサポートは継続予定)。
そのため、商業用の空撮が可能なドローンについて検討する場合、今回取り上げるPhantom4 Pro(約20万円)、Inspire2(約40万円)、MATRICE 210(要見積)の3機種を含む、DJIの製品が最も選択肢が広く、アフターサポートについても充実が見込まれます。
スタンダードモデルから産業用ハイエンド機まで!プロユース可能なDJIドローンを比較検証

冒頭でお伝えした通り、今回はプロユースが可能なドローンとして、DJIのPhantom4 Pro、Inspire2、MATRICE 210の3機種に注目しました。個別の機種のレビューは情報量が多いため、今回は別の記事に、3機種それぞれの基本情報や検証の様子を掲載しています。
3機種のスペック比較
機種名 |
Phantom4 Pro |
Inspire 2 |
MATRICE 210 |
機体写真 |
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本体価格 | 20万4000円〜 | 38万9000円〜 | 要見積 |
重量 | 1.38Kg | 3.29Kg(デュアルバッテリ搭載時) | 3.8Kg |
最大飛行時間 | 30分 | 27分 | 38分(フルペイロード時は24分) |
最大解像度 |
静止画:2000万画素 動画: |
※ZENMUSE X5S搭載時 静止画:2080万画素 動画: CinemaDNG: ・AppleProRes: |
※ZENMUSE X5S搭載時 静止画:2080万画素 動画:4K |
最大伝送距離 | 4km | 4km | 7km |
障害物センサーの有効距離 | 15m | 30m | 30m |
主な機能 |
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オススメ用途 |
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※画像引用元:https://www.dji.com/
まとめ
現状、ほとんどの映像制作は、PHANTOM4 PROで十分対応できますが、動体撮影に特化した案件などでは、Inspire2の2オペレーションが必要です。M200/210については完全に産業用となっていて、橋梁点検や測量が主な用途となっています。
Mavic ProやMavic airといった、折りたたみ可能な携帯性の高い機種に人気が集まっているようですが、やはり事業として空撮を行うにはPhantom4 PROが最低限のラインと言えそうです。
オールラウンダーであるPhantom4 PROからスタートし、より高度な映像制作を手がけたい場合は、Inspire2の導入を検討する、という考え方が基本となるのではないでしょうか。ただし、M200/210については、導入を検討する場合、代理店の専任営業マンに細かくヒアリングをしてもらうことが重要です。
今回の取材の中で、株式会社FLIGHTの岡田正義取締役は、「M200/210に限らず、高額なはずのドローンを初年度だけ予算を組んで導入するケースが目立っている。2年目以降はもちろん、できれば3年間の運用費用を購入時に提案する必要がある」と述べ、「導入・運用計画を一緒に考えられる代理店に相談するべきだ」と締めくくりました。
今回紹介した3機種の導入を考えている方は、ドローンの販売だけでなく、空撮や測量といった運用者としての視点を持つ代理店への相談を強くオススメします。