メトロウェザーがシリーズAラウンドにて2.2億円の資金調達を実施、「風」を観測できるドップラー・ライダー高精度化・小型化進める

「高精度風況観測」を提供する京都大学発ベンチャーのメトロウェザー株式会社(京都府宇治市、以下「同社」)が、Drone Fund(東京都港区)、リアルテックファンド (東京都港区)、真鍋康正(高松琴平電気鉄道株式会社 代表取締役社長)を引受先とした第三者割当増資と、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による平成30年度「ベンチャー企業等による新エネルギー技術革新支援事業」助成事業に採択され、総額2.2億円の資金調達を実施しました。

 同社は今回の調達資金をもとに、大気観測装置「ドップラー・ライダー」の高精度化・小型化の開発を進める意向です。

 

「ドップラー・ライダー」とは?

今回の資金調達の鍵といえる大気観測装置、「ドップラー・ライダー」とはいったいどのようなものなのでしょうか。

ドローン社会の実現には、ドローンが「安全に」空を飛ぶための運航管理システムの整備が必須です。その中で厄介なのが「風」。原理上突風は回避することができないため、風が強いときはドローン落下のリスクが増大します。

「ドップラー・ライダー」は、レーザ光を発射し、大気中のエアロゾル(塵、微粒子)からの反射光を受信することによって風速・風向を観測することができます。長距離・高精度の気象観測レーダー開発の知見を応用し、独自の信号処理を行うことで高い精度を実現しています。これは、新大阪駅のホーム上にあるピンポン玉の動きを、東京駅から捉えられるほどの精度です。

これにより、ドローン飛行時の突風などの検知ができ、ドローン飛行の安全を守ります。

また、ゲリラ豪雨の前触れとなる上昇気流の把握が可能になり、気象災害による損害を抑えることにも貢献できます。

さらに高精度な風況観測技術の開発へ

従来のドップラー・ライダーは軍事用途や空港での運用を想定しており、数mから10m以上のサイズが一般的でしたが、同社は大幅な小型化を実現。

高層ビルの立ち並ぶ都市においても、3次元風況マップ(風況観測データ)を提供し、安全なドローン社会の実現を支える技術の開発を目指しています。

同社はドップラー・ライダーを通じて「空の安全」の提供を目指しています。ユースケースとしては、ドローンの飛行をはじめ、都市防災、風力発電、航空などが想定されています。

「空の安全」理念に投資家から熱い期待

同社が目指す「空の安全」に、投資家からは熱い期待が寄せられています。

「小型かつ高精度のドップラー・ライダーはドローン前提社会に必要不可欠なツールとなり、防災分野においても、緊急豪雨の確率的予報の提供を行うなど、社会的意義がとても高いです(Drone Fund代表、千葉功太郎氏)」

「超高分解能ドップラー・ライダーを通した風況観測はドローン社会の基盤を支える技術であり、また近年多くの被害を生んでいる気象災害の検知への応用が期待されるなど、防災分野を中心に社会インパクトが大きく、人類の発展に貢献できる技術であると考えています(リアルテックファンド代表、永田暁彦氏)」

多くのドローンが当たり前のように、かつ安全に上空を飛び交う社会。そして、災害を未然に防ぐことのできる社会の実現に向けて、同社は大きな一歩を踏み出したといえるでしょう。