【空撮ドローン比較2/3】「Inspire 2」~シネマクオリティの映像に加えて動体撮影にも特化

2016年12月に発売されたInspire 2は、Phantom 4シリーズよりもパワフルで2オペレーションも可能なドローンです。まったく新しい画像処理システムであるCineCore 2.0が機体に組み込まれているため、大容量ファイルをこれまで以上に高速で処理することが可能。Cinema DNG RAW向け5.2K映像を4.2Gbpsで撮影し、新たに設計された高速CINESSDストレージに記録することで、スムーズなワークフローをサポートします。

中~大型の空撮ドローンの運用について、Inspire 2の登場は大きな影響を与えたといえます。進化したZenmuseカメラの性能もそうですが、特筆すべきは、高度な動体撮影を可能にする運動性能です。

DJI Inspire2

外板部分を、樹脂素材からマグネシウム・アルミニウム合金製に変更したことで、軽さと強度を両立。最高時速108km、フライト開始から4秒で時速80kmまで加速します。さらに、別売の高度飛行用プロペラを使用することで、Inspire 2の運用限界高度の海抜5,000mまで上昇することが可能です。驚異的な運動性能を獲得しながらも、デュアル・バッテリーシステムの採用により、最大飛行時間27分を実現しています。また、このバッテリーは、本体温度が-20℃以下になると自己発熱する機能を備えており、氷点下での稼動を可能にしました。

基本スペック

本体価格

38万9000円〜

重量

3.29Kg(デュアルバッテリ搭載時)

最大飛行時間

27分

最大解像度

(X5S搭載時)

静止画:2080万画素

動画

  • CinemaDNG:5.2K(5280×2972)、30fps / 4.2Gbps
  • AppleProRes:5.2K(5280×2160)、30fps / 422HQ

最大伝送距離

4km

障害物センサーの有効距離

30m

主な機能

  • DRAW
  • Return to Home
  • Active Track
  • Tap Fly
  • スポットライトプロ
  • DJI GO
オススメ用途
  • 映画などの高画質撮影
  • 動体撮影
  • その他2オペレーションによる撮影が必要な場合

ポイント

  • 機体の進行方向に関わらず、カメラが被写体を自動追尾する“スポットライトプロ”に対応
  • 「Zenmuse X5S」を搭載することで5.2K 30FPSの動画撮影が可能
  • 時速0kmから80kmまでを4秒で加速、最大スピードは時速108km
  • デュアル・バッテリーシステムにより最長27分の飛行が可能

発泡ポリプロピレンと金属部品で構成されたキャリングケース
プロペラ接続部分
送信機用ディスプレイ“Crystal Sky”(写真右)とi-padの輝度比較

2オペレーターによる高度で高画質な撮影が可能

機体前方に追加されたFPVカメラにより、パイロットにフライトビューを確認しながら操作に集中できます。さらに、ジンバルに取り付けられたZenmuseカメラの映像を、カメラオペレーターが受信することで、2オペレーターによる高度な撮影が可能となります。

ジンバルに取り付け可能なカメラについては、従来機Inspire1のZenmuse X5、X5Rとの互換性はありませんが、より高性能なX4Sや5.2K 30fpsの動画撮影が可能なX5Sに対応しています。さらに、2017年10月に6K動画撮影に対応したX7が発売されており、今後もInspire 2に搭載可能なカメラ・レンズが追加されていく予定です。

カメラ性能の向上に伴い、画像処理システムも一新されています。新たに実装された“CineCore 2.0”は、大容量ファイルの高速処理が可能な画像処理システムで、Cinema DNG、Apple ProRes 422 HQ(5.2K、4K)、ProRes 4444XQ(4K)、H.264、H.265(4K映像撮影時、最大100Mbps)などの映像圧縮フォーマットに対応します。また、撮影したデータを、高速ストレージ“CINESSD”に記録することで、よりスムーズなワークフローをサポートできるようになりました。

動作テスト

ここからは、実機による検証の様子をお届けします。グレーのライトバンを被写体に用い、アクティブトラック(自動追跡機能)によるノーズインサークル、障害物回避機能による自動停止を検証しました。

検証1:ノーズインサークル

検証2:障害物検知

ライトバンを認識して、手前で停止
人をターゲットにした際の様子。Phantom4 Pro、Inspire2ともに衝突回避は作動しなかった

検査③:飛行中の機体を相互に撮影

Phantomo4 Proと相互に撮影

まとめ

X4S、X5Sなどの高性能なカメラに対応していることはもちろん、他のドローンにはない高い運動性能は、レーシングスポーツなどの動体撮影に対して高い効果を発揮します。また、Phantom 4シリーズにも搭載されている障害物回避用のステレオセンサーや、機体上部後方に赤外線センサーを備えるなど、安全性についても十分な対策が施された機体となっていることが確認できました。

Phantom 4 Proなどのスタンダードモデルを使用し、プロとしてより高度な映像制作へ踏み込みたいという方については、Inspire 2の導入を検討する価値は大いにあるといえます。

ただし、X4SとX5Sは、「標準セット」には付属していないため、別途入手する必要があります。すぐにでも5.2K 撮影を取り入れたいという方は、X5Sと動画編集ソフトが付属する「プレミアムコンボ」での購入がオススメです。

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