DJI JAPAN が Apple Store 表参道店にて空撮セミナーを開催

2016年7月18日(月)にApple Store 表参道店にて、DJI主催による「空撮でクリエイティビティを発揮しよう」と題されたイベントが開催されました。

空撮のヒントや構成、カメラの動かし方やドローンの飛ばし方を、海の日に合わせた最新映像も交えてわかりやすくご紹介する本イベント。登壇されたフォトグラファーの上田晃司氏によって、最先端テクノロジー搭載の「DJI Phantom 4」を使用した空撮の基礎や、動画の編集方法についてたっぷりお話しいただきました。

DJI Phantom 4 の特徴

上田晃司氏はフリーランスのフォトグラファーで、2013年の冬くらいからドローンによる空撮を開始。イベント開始時に、「ドローンによる空撮の魅力は、New Perspective(新しい視点)の撮影が可能なこと」と、ドローンを活用した新しい写真表現や映像表現の可能性について言及されていました。

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今回取り上げた「DJI Phantom 4」は、コンパクトで性能が良いドローンということで、上田氏も頻繁に空撮業務で使用しているとのこと。中でも、障害物検知機能による安全性向上や、バッテリーの改良による飛行時間の増加を特筆点として挙げていました。

また、「DJI Phantom 4」の魅力を語る上でのキーワードのひとつが「3分」という数字で、これは撮影をしようと思ってから実際にドローンを離陸させるまでの時間。専用ケースを開いてプロペラやバッテリーを取り付け、プロポにiPhoneやiPadを繋げて飛ばすまでの時間の短縮化が、空撮をより身近にしているとのことでした。

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空撮時の注意点

続いて、空撮を開始する前のいくつかの注意点について解説。

日本国内の法律では、飛行可能エリア制限(人口密集地は不可)、道路や建物から30m以上離す、目視の範囲で飛ばす、などの制約がありますので、必ず確認すること。また、強風(風速が強い時は飛行を控えることも大切で、iPhoneに付けるだけで風速がわかる風速機も発売されています)や悪天候時は絶対に飛ばさないなど、安全管理の重要性について解説されました。

次に、安定飛行のために、離陸前には「DJI Phantom 4」を地面から水平にして置くようにとのアドバイス。iPhoneにはコンパスの水準器があるので、これを活用すれば手軽に水平が取れるとのことでした。

続いて、離陸時の注意点。ここでのポイントは、テイクオフしたらすぐに目的地まで飛ばさないこと。その場で上昇下降、八の字飛行など30秒から1分ほど試し運転することが大切で、万が一機体に何かしらのトラブルがあっても、その場ですぐに着陸すれば大きな大きな事故を防ぐことができます。そのため、離陸後は必ず試し運転を行ってほしいとのアドバイスがありました。

空撮写真の撮影基礎

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続いて、上田氏から空撮写真の撮影基礎について解説。

「DJI Phantom 4」における基本的な写真撮影では「Auto」の設定で十分ですが、露出補正などさまざまなパラメーターをアプリ上で気軽に行えることがDJIのドローンの面白いところとのこと。

また、ドローンによる空撮写真の魅力は、「真俯瞰」「斜俯瞰」にあり、高度数十メートルからの俯瞰写真や、水平アングルの写真など、地上からだと到底撮れない写真が手軽に撮れるところと強調されていました。一方で、高ければよいというものではなく、数メートルくらいの高さでも十分面白い写真がとれることもあるので、状況に応じて高さを変えながらいろいろ試してほしい、とのアドバイスがありました。

空撮映像の撮影基礎

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続いて、上田氏から空撮映像の撮影基礎について解説。ここは時間をたっぷりとって解説されました。

まず、「DJI Phantom 4」で動画がスムーズに撮れるのは、優れたジンバルが大きく寄与しているとのこと。前作にあたる「DJI Phantom 3」よりも安定感が増しており、初心者でも非常に安定した映像が撮れるようです。

次に、撮影モードの話。上田氏によると、静止画は「AUTO」で問題ないが、動画は「AUTO」は可能であればやめた方がよいとのアドバイス。その理由は、ちょっとでもドローンの向きを変えると光量が変わって画面が明るくなったり暗くなったりして、結果的に非常に見辛い絵になってしまうからだそうです。

また、一般的なカメラでの撮影時は、レンズの絞り、シャッタースピード、iso感度を変えると希望通りの映像が撮れますが、「DJI Phantom 4」の絞りは固定のため、シャッタースピードとiso感度を調整することで希望に近づけた映像作りができるとのこと。中でもシャッタースピードの変更が効果的とのことで、目安としては「フレームレート×2」。例えば、4Kで30fpsの映像であれば、1秒30コマなので、60分の1の設定が理想のようです。

ただ、一点注意が必要で、講演時のような明るい日(カンカン照りでした)だと、NDフィルターを活用するのがベターで、複数毎持って行って、状況に応じて使い分けた方が良いとのこと。

編集を考慮した動画撮影のポイント

上田氏によると、経験上、動画は編集のことを考えて撮らないと後で非常に苦労するため、本セミナーでは7つのコツが提示されました。

1:シンプル

動画でアクロバティックな絵ばかり撮り過ぎると、酔いを誘発してしまいます。そこで、「まっすぐ飛ぶ」「引いていく」「横に行く」というシンプルな方が使い勝手を推奨されていました。また、安定した絵を撮るために、プロポの持ち方はストラップを付けた上で「親指と人差し指の二本指でつまんで固定し、ゆっくり操作する」ことがオススメとのこと。

2:バリエーション

同じ被写体を撮るにしても、同じシーンばかり撮ってしまっては1個しか本番で使えなくなってしまうので、「近くを通る」「全景を撮る」「俯瞰で撮る」などの複数バリエーションを撮ることが大事時とのことでした。

3:高度

ドローンを始めたばかりだと、最初は高い高度を攻めてしまう傾向にありますが、高度が高ければ高いほど映像に代わり映えがなくなり、どんどん飽きてしまう傾向があるようです。そこで、低い位置で飛ばすなど、映像のバリエーションを出す方が良いようです。また、「DJI Phantom 4」であればスポーツモードにすることで、高い高度でもそれなりに速い流れの映像が撮れるとのことです。

4:攻める

上田氏によると、リスクは高いが斬新な映像を撮れる手段として、被写体付近を攻める方法もあるとのこと。「DJI Phantom 4」は初期の設定だと攻められないので、障害物検知をオフにするか、スポーツモードにすることをオススメするとのこと(ただし、必ず操作に慣れてからチャレンジしてほしいとのことでした)。

5:カメラを動かす

「DJI Phantom 4」では、プロポの左側にあるダイヤルで、カメラを上下に動かせます(チルト操作)。先程紹介したように、親指と人差し指で操作する場合は、中指を使って動かせばオッケーで、ドローンを前進させながらチルトアップして全景をみせていく、被写体を攻めながら真下を映していく、などができるようになると、表現の幅が広がるとのことでした。

6:俯瞰撮影

被写体を真下に撮影する方法は、映像のオープニングタイトルを作る用途にも向いているのでオススメと紹介がありました。真下を映しながら上昇する、真下を映しながら前後左右に移動するなど、工夫次第で見栄えのする映像のバリエーションを増やせるとのことでした。

7:ダイナミック

上田氏が特にオススメの撮影方法として挙げていたのがこの手法。例えば、山の低い位置から前進しながら上昇して、山を越えたところで遠景を映すなどすると迫力が出てくるとのこと。ただし、場所によっては距離感が掴めなくなるので、障害物センサーをオンにするなどしてから撮影した方がよいとのアドバイスがありました。

動画の編集

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続いて、動画の編集方法についても解説。まず前提として、ネットにアップする場合は、動画の長さは1分〜2分くらいにまとめた方が良いとのこと。長い映像を作る方が実は簡単で、短い映像をいかに魅力的に作るかが腕の見せ所のようです。

今回のセミナーで紹介されたのが、「DJI GO」と「Final Cut Pro」を使っての編集方法。「DJI GO」は、スマホやタブレットで簡単に編集できるところが魅力。一方で、「Final Cut Pro」もプロユースという位置づけですが、年を追うごとに取り扱いの難易度が下がっているため、オススメとのことでした。

上田氏が紹介したのは、まず最初に音楽を決めて、それに合わせて動画を編集していくやり方。音楽の変化に合わせて映像を切り替えるだけで、それっぽい映像に仕上がってくるのでオススメとのことです。また、もうひとつのコツとして、ドローンの空撮映像を編集する場合は、フェードを多用するよりもカットで切り替えていく方が見栄えの良い映像に仕上げられるとのこと。他にも先に紹介したテクニックを多用した映像を組み合わせることで、誰でも簡単に可能な空撮映像を編集を紹介いただきました。

そして、セミナー中に編集して出来上がった動画がこちら。

ハワイの絶景をドローンによる空撮映像で編集した素晴らしい映像になりました。こんなクオリティーの高い映像も、わずか20分足らずで編集されていたから驚きですよね。上田氏のテンポの良いトークのおかげもあり、気がついたらあっという間に1時間半が経過。ドローンの空撮の基礎は意外と情報が少ないため、大変有意義な学びを得たセミナーとなりました。

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