本連載はタイ在住でドローン専門ブログ『Drone@Bangkok』の管理者による海外のドローン事情を紹介するコラムです。第1回は東南アジアのイスラム教国マレーシアを取り上げます。 |
マレーシアは個人的には、東南アジアの中でシンガポールに次ぐ発展した国というイメージを持っています。首都クアラルンプールの発展ぶりには目を見張るものがありますし、また首都クアラルンプールにあるペトロナスツインタワーはマレーシアのシンボルとも言えるくらい有名です。ぼくが住んでいるタイのお隣の国でもあります。
そんなマレーシアですが、以前ドローン規制について調べた際に、原則政府からの許可取得が必要という情報を目にしていたため、ドローンに関しては厳しい国というイメージを抱いていました。
ですが、今回改めてマレーシアのドローン規制を調べる中で、実は東南アジア諸国の中でもドローンが飛ばしやすい国ということがわかりました。
それでは以下にその規制内容を見ていきましょう。
マレーシアドローン規制

マレーシアのドローン規制はDepartment of Civil Aviation(DCA)によって定められています。
まずは海外でドローンを飛ばす時の一番の障壁となる飛行許可について確認しましょう。
機体重量20Kg以下のレクリエーション目的には飛行許可不要
ぼくが2016年頃に初めてマレーシアのドローン規制を調べた時は、全てのドローン飛行はレクリエーション目的、商業目的問わず、DCAからの飛行許可が必要という情報しか得ることができませんでした。
そしてそれ以降ずっとそういう認識だったのです。
これと同じ認識のニュースが2017年11月に現地メディアのThe Starからも出ています。
この記事によれば、
“DCA officers will work with the police to carry out this operation,” the spokesman said, adding that under Civil Aviation Regulations 2016, all drone activity – regardless of their size and purpose – needed a flying permit from DCA.
と、”飛行の目的や機体の大きさに関わらず、全てのドローン飛行はDCAからの許可を必要とする”とあります。
しかしながら、同じ月に今度はDCA自体がそのような規制はないと否定する声明を発表したのです。
以下が実際にDCAから発表された正式コメントです。

この声明によると、機体重量が20Kgを超えない小型の無人航空機の操縦士は、安全に飛行する限りDCAからの許可なしに無人航空機の飛行を行うことができるとあります。(上記DCA声明の第2パラグラフを参照)
同じ内容はDCAのウェブサイトにも記載があります。(2018年1月現在)

よって、2018年1月時点では、機体重量が20Kgを超えないドローン(ほとんどのドローンが該当)は、レクリエーション目的かつ安全な飛行を行う限りDCAからの許可なしに飛行することができます。
商業目的飛行の場合は、一般的な他の国々の規制同様にDCAからの許可が必要となります。

最後に商業目的飛行の許可取得ですが、詳細は以下のDCAウェブサイトに記載がありますのでこちらでは割愛します。
飛行制限エリア
さて、許可が不要と言っても当然ドローン飛行が制限されるエリアがあるので注意が必要です。
DCAのウェブサイトに記載があるのは、
・空港の周辺でのドローン飛行は禁止(周囲何kmかの記載はなしだが、10Km以内は避けるのが無難)
・地上から400フィート以上(約120m)の高度での飛行は禁止
・Airspace A, B, C, Gクラスでは飛行禁止(A,B,Cも航空管制官の管轄区域です。)
の3つですが、これ以外にもNo Drone Zoneが存在します。
例えば行政機関の集まるクアラルンプール近郊のプトラジャヤはNo Drone Zoneの例の一つです。
他にも一般的にドローン飛行が禁止されているエリア(下記の関連記事参照)はマレーシアでも該当すると思われるので飛行は控えるのが良いでしょう。
<関連記事>
ここはヤバい!! 万国共通ドローンを飛ばしちゃいけない場所リスト
実際に飛行を考えている場所があれば事前にDCAに問い合わせをするのが良いでしょう。
また、Airspace(空域)の概念を理解するには以下のサイトがオススメです。
http://www.cfijapan.com/study/html/to099/html-to070/066a-Airspace-Relation.htm
https://en.wikipedia.org/wiki/Airspace_class
飛行条件
上記記載の飛行制限に加え、ドローン飛行にあたっての細かい飛行条件も存在します。DCAウェブサイトに記載があるのは以下の項目です。
- 飛行禁止エリアの150m以内
- 人口集中区域上空は飛行禁止
- 人口集中区域の150m以内
- 操縦士のコントロール配下にないいかなる船、車両、構造物の50m以内
- 人の50m以内でに飛行禁止
- 人(操縦士以外)の30m以内での離着陸禁止
※夜間の飛行に関しては特に言及がありませんでした。安全に飛行するという条件の元では飛行が許可されているのかもしれません。実際に飛行する際にはDCAに確認するのが良いでしょう。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
レクリエーション目的、機体重量20Kgを超えないドローン、安全に十分に配慮という条件を満たせば現地当局からの許可なしでドローン飛行ができるというのは、ぼくの世界各国のドローン規制の中で知る限りかなり緩い規制です。
マレーシアには首都クアラルンプールの都会的魅力だけではなく、数々のビーチリゾートや高原リゾートも存在する自然に溢れる国でもあります。
ドローン愛好家には非常に魅力的な国と言えるでしょう。
ただし規制は何の前触れもなく急に変わることがありますので、実際にドローンを持ち込む際には事前にご自身でも最新の情報を確認されることをお忘れなく。
<Source>
http://www.dca.gov.my/aviation-professionals/faq/faq-on-unmanned-aircraft-system-uas/
http://www.dca.gov.my/feedback-questions/
Flying a drone outside your home without a permit is illegal in Malaysia