Drone Fund ジェネラルパートナー千葉功太郎氏インタビュー

鎌倉インベストメントおよび千葉功太郎氏が、5月30日に都内で開かれた記者会見でドローンスタートアップに特化した投資ファンド「Drone Fund」を発表しました。本インタビューは記者会見の翌日に同ファンドオフィスにて実施。千葉氏の日本のドローン産業拡大に対する期待やドローンに対する思いなどを語っていただきました。

http://dronefund.vc/

ドローンはインターネットぐらい当たり前になります

DRONE FUND 記者会見の様子

インタビュアー:ドローンファンドはどのような背景で設立されたのでしょうか?

千葉氏:私はドローン前提社会がやってくると考えています。ドローン前提社会の定義は、完全自動自立飛行のドローンが田舎だけじゃなくて、街の東京のビュンビュン大量に飛んでいる社会。

これがもうちょっと進化すると、今のインターネットみたいに、それがあることが当たり前の社会になっています。いまどき、「インターネットやろうぜ」とか、誰も言わないでしょ(笑)?

今、すべてのビジネスはインターネットを当たり前のように使っていますが、ここまで来るのに20年かかっています。ドローンは今から5年くらいでそこに到達すると思っています。

これは僕の勝手な推測ですけど今日本は全部2020年に合わせて色々動いていて、例えば東京のドローンによる警備に関しては人口密集地での自動運転を一時的に認可するとか、オリンピックに間に合わせてくるんじゃないかと思います。

技術的には充分可能なので、法整備が追いつけばオリンピックイヤーには東京の空を自動飛行のドローンが飛んでいる可能性が十分あると思ってます。

諸外国に比べると、日本は法整備が厳しいとか、遅れてるとか言われてるんですけど、『2020年オリンピック主催国』という都合は世界にはありません。日本はこれをチャンスとして巻き返していけると思います。例えばニューヨークの上をドローンが自動飛行で飛ぶのは2020年まででは、まず間に合わないと思うんですよね。

日本のドローン業界が発展途上の原因は三つ

千葉氏:日本はまだドローン産業の発展の途上だと思っています。その理由の一つ目は、ドローンのスタートアップ企業に対して、リスクマネーの投資がだれもまだできてないこと、二つ目はインターネット業界的な経営の手法が浸透していないこと、そして、三つめは、良いテクノロジー同士、特にハードとソフトをくっつけて、新しい製品に仕上げていくみたいなプロデュースがまだないんじゃないかなと。今回ドローンファンドを作ろうと思ったのはそれを有機的につなげて、世界のドローン市場で戦えるスタートアップをチームジャパンドローンとして作っていきたいな、と。

最初に6月中に11社の投資を予定しておりまして、約3億円分くらいの投資を予定しています。全体では、10億から15億くらい投資をしようと思ってます。投資先は現在、11社を予定しています。

投資先の企業同士のマッチングを積極的に行う

インタビュアー:バランスよくソフトの企業にもハードの企業にも投資されるのですね。

千葉氏:はい。これらがくっつくことによって、価値がどんどん大きくなっていくと思っているんです。僕は究極のお見合いおばさんとして、投資先の企業に「あなたとあなた近づいてください」みたいなのをやっていきます。

アドバイザリーボード(※ファンドの運営に対しアドバイスを行う専門家チーム)にはドローン、ロボット、インターネット接続業界でそれぞれたいへん活躍されている方々です。

また、全国の大学の研究者と全国の町工場のネットワークを持つ企業のリバネスさんとも提携したので、試作機の製作等を町工場との連携というのをやっていこうと思っています。

経営者の育成に関しては、千葉氏道場というのを三年くらい個人投資家として運用していて、多数のインターネット事業の起業家を育てた実績があります。同じような形式でドローンも立ち上げようというところです。

今回、特許の共同出願を行う会社とも連携しています。世界で戦うスタートアップ企業を作るための共通の知財部みたいな位置付けです。

このドローンファンドはチームジャパンを作っていきたいと考えています。スタートアップ企業同士がくっつき、大きな実証実験と事業化をしていき、そこで磨かれたクオリティを世界に輸出していくという将来を描いています。

インタビュアー:なるほど。

千葉氏:次の一歩は国内大企業にこのプロジェクトに対して協力してもらうことです。私は、起業家でもあり投資家でもあります。そして、ドローンも大好きなので、本当にドローンの一番低いエリアの技術的な要素技術の知識もあります。また、大企業の論理もわかっているので、ドローン業界のベンチャーとお見合いマッチングができます。

ドローンファンドはチームジャパン 各ポジションの空席にあたる企業を探す

インタビュアー:ドローンファンドとしては、どういうような企業に対して、積極的に支援をしていきたいという考えをお持ちでしょうか。

千葉氏:まず、チームジャパンは私のなかでチームとしての完成系があるんですね。サッカーのチームと同じで、ポジションがあるんですよ、全員に。そこの空席にあたる会社を僕は探しているんですね。

ドローン市場では1個のソリューションの背後に膨大な技術とかが必要になってくるんですよ。ですので、産業軸で切ってみるのか技術軸で切ってみるのかによって、ポジションが全然変わってきて、そのポジションの数だけでも数十あると考えています。

逆にそこに当てはまらない会社は投資をしないと思います。極端に狭い市場を狙っているとか、あるいは規模の経済が働かない分野をやられようとしているとか。

例え話をすると、ドローンを飛ばすのが大好きです。空撮の仕事がちょこちょこもらえるようになりました。投資をしてください。これはNGです。

インタビュアー:投資先に人工知能の企業がありましたけど、今後もそのような企業に投資をする可能性があるということですね。

千葉氏:もちろん。今回の11社はわかりやすくドローンっぽい会社なんですけど、これからパッと見てもドローン関連とわからない会社が入っていく可能性があります。

インタビュアー:これからドローン業界で起業される方に向けてメッセージをください。

千葉氏:ドローンの市場は、すごい魅力的な市場で、今ならば日本初世界でもソリューションの提供とかまだまだ黎明期のようなチャンスがあるので、ぜひ参入してほしいですね。ただし、小さいものをやろうとするではなくてできれば大きななにかをやってほしいなと。世界中で共通のドローンのビジネスってなんだろうなという観点で、事業を企画していただけると面白いなと思うんですよね。