僕たちの未来に、なぜドローンが必要なのか?

大型連休のGWが迫ってきました。この連休に合わせてインターネットでお買い物をされる方も多いと思いますが、最近ではAmazonや楽天などのECサイトに加えて、ZOZOやメルカリなども驚異的に成長を続けています。

このようにECサイトのカテゴリー化が進むほど配送の小口化が進みますが、みなさんは日本中で年間に何個くらいの宅配便が取扱いされているかご存知ですか?

日本の宅配便取扱個数は42億5100万個!

国土交通省の発表によると一昨年(2017年度)の宅配便取扱個数は、42億5100万個で、一人当たり年間約34個でした。

さらに単身世帯が増え、夫婦共働き世帯が増えるなど多様化するライフスタイルにより、不在宅時間が増え、国土交通省の平成30年4月期の調査結果では、全国総計の宅配便再配達率は15%であると公表されました。

つまり42億5100万個の荷物をお届けするのに、48億8865万回配達する必要があるということです。

さらに、宅配便取扱個数も再配達率も年々上昇し続けています。

増加する宅配便を運ぶのはクルマの自動運転か?

日本の総人口の40倍近い荷物を運ぶドライバーも年々不足し、日本の宅配物流はとても深刻な状態に直面しています。

政府はこの問題を解決するために、2025年頃に高速道路でのトラックの完全自動運転化を目標に、自動運転車の実用化に向けた道路運送車両法/道路交通法の改正を進めていますが、高速道路以外の道路での自動運転車の実用化はメドが立っていません。

また、クルマの自動運転技術をめぐっては世界各国の自動車メーカーが開発競争を激化させていますが、未だ世界でドライバー不在のクルマが限定されない道路を走行したことは一度もありません。

すでに空の移動・配送は自動運転が常識!

一方で、空の物流についてはどうでしょうか?

大勢の人や大量の荷物を載せる旅客機には、1960年代末期からオートパイロットが導入され、現在では離陸は人間(パイロット)が関わることが必要ですが、離陸後安全高度に達した後に、次の空港に向かうまでの巡航、空港への進入、着陸などのほとんどが自動操縦システムにより運航されています。

日本航空が今年(2019年)に導入するエアバスA350には、もはや操縦桿はなく、操縦席の脇にサイドスティックが左右各席に1本ずつ備わっているだけです。

つまり、未だ先の見えないクルマの自動運航に対して、空では自動運航は日常化しているわけです。

すでに始まっているドローン物流!

昨年(2018年)7月10日に、アメリカのGeneral Atomics Aeronautical Systems Inc.の民間向け貨物輸送ドローン「MQ-9B SkyGuardian(MQ-9B)」が、パイロットが搭乗しない状態で、ほぼ地球の半径(6,371km)と同じ距離である大西洋横断に成功しています。

日本でも、今後の過疎地域の労働力不足などに対応するため、日本郵便が昨年(2018年)11月7日より、福島県の小高郵便局(南相馬市)から浪江郵便局(双葉郡浪江町)までの9Kmの区間で、補助者を配置しない目視外飛行にて荷物のドローン輸送を開始しました。

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政府は増加する宅配便をドローンで運ぼうと考えている?

日本政府は、都市の物流を2020年代頃には開始すると、首相官邸のウェブサイトに「空の産業革命に向けたロードマップ」を公開しました。

さらに経済産業省は、いわゆる“空飛ぶクルマ”、電動・垂直離着陸型・無操縦者航空機などによる身近で手軽な空の移動手段の実現に向けて、今年(2019年)より試験飛行・実証実験を開始し、4年後の2023年には事業としてスタートするという「空の移動革命に向けたロードマップ(案)」を公開しました。

なぜクルマよりドローンの方が人や荷物が運びやすいのか?

あらゆる交通インフラは、管制システムによって管理したいと考えています。その代表例が電車です。

新幹線でも地下鉄でも、どの電車がどこを走っているのかを管理しているので、過密する運航ダイヤでも事故なく運航することができています。

そして、航空機はそれぞれの機体にビーコンという発信機を搭載し、どこ行きの何便がどこ(北緯/南緯・東経/西経・高度)で飛行しているのかを発信し続けることにより、管理を可能とし、空路という目には見えない道を適当な機間距離を保ちながら飛行しています。

アメリカのNASAはこの航空機と同じような管制システムを近い将来運用を開始すると開発を進めています。

レーダーや複数のカメラを搭載することにより、衝突しないクルマは近い将来完成するかも知れません。

しかし、クルマはトンネルや高架下も走行するので、ビーコンからの発信による管制システムが難しく、またビーコンを使わない方法として、道路側にチップを埋め込む方法も研究されていますが、世界中の道路に全てチップを埋め込むというのも現実的ではありません。

その点から考えてもクルマよりドローンの方が、自動運転によって人や荷物が運びやすいといえるのではないでしょうか?

日本が抱える問題への対策として「ドローン」が必要不可欠に

“ドローンは未来のモノ”と考えられがちですが、すでに日常化している航空機の自動運行のテクノロジーなどを応用すると考えれば、ドローンによる都市の物流を2020年代頃には開始するという政府の方針も現実的だともいえるでしょう。

日本が抱える’労働力不足問題”への対策として有効であり、趣味としての空撮だけではなく、社会にとって必要不可欠なモノがドローンなのです。

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一般社団法人ドローン大学校 代表理事 1962年大阪府生まれ。立教大学大学院卒。長年に渡り事業構想のコンサルタントとして事業を継続してきたが、その傍ら慶應義塾大学医学部で研究員として先端技術に関わる研究を行ううちにドローンに大きな未来を感じ、JUIDA操縦技能証明証・JUIDA安全運航管理者証明証・JUIDA認定講師の資格を取得。2016年に一般社団法人ドローン大学校・株式会社ドローンラボをローンチ。現在は代表理事/理事長として、東京・名古屋・瀬戸内・博多の各キャンパスでドローンビジネスを目指す方の育成の傍ら、株式会社ドローンラボの取締役として、国内外のドローンメーカー・ドローンアプリケーションベンダー・ドローンインテグレートカンパニーと提携し、機体・アプリケーション・ドローンビジネスのカリキュラムデザインを行っている。 ・JUIDA操縦技能証明証 取得 ・JUIDA安全運航管理者証明証 取得 ・JUIDA認定座学講師 取得 ・JUIDA認定技能講師 取得 ・Intel UAS Operater 取得 ・第二級陸上特殊無線技士 取得 ・第四級アマチュア無線技士 取得 ・二級小型船舶操縦士 取得 ・日本無人機運航管理コンソーシアム(JUTM) 会員 ・慶應義塾大学SFC研究所 ドローン社会共創コンソーシアム 研究員 ・一般社団法人 慶應医師会 会員 ・日本広報学会 会員 ・日本商業学会 会員 ・日本マーケティング学会 会員 ・日本経営会計学会 会員 ・立教大学大学院MBA(経営管理修士)取得 ・東京商工会議所 ビジネスマネージャー検定 取得