JAAドローンパイロットスクール、北海道白老町にも開校決定

水野宏一 氏(公益財団法人日本航空教育協会 専務理事)
水野宏一 氏(公益財団法人日本航空教育協会 専務理事)

公益財団法人日本航空教育協会JAA)は、ドローンの操縦や、航空測量等に必要な技術の習得を目的とする「JAAドローンパイロットスクール」を、日本航空専門学校の白老キャンパス(北海道白老町)で開校することを決定しました。

今回、DRONE MEDIAではJAA専務理事を務める水野宏一氏にインタビューを実施。JAAが展開するドローンスクールの特徴や、ドローンパイロットの育成について展望を伺いました。

JAAドローンパイロットスクールとは?

「JAAドローンパイロットスクール概要」
「JAAドローンパイロットスクール」概要(引用元:JAAドローンスクール公式HP https://www.jaeazaidan.org/blank-3)

JAAドローンパイロットスクールは、一般的なドローンユーザーが受講可能な「自家用コース」と、航空測量などの業務に必要な技術を習得するための「事業用コース」が設定されています。2017年7月1日付で、国土交通省航空局が定める無人航空機の講習団体・管理団体としてHPに掲載されました。

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事業用コースでは、アジア航測株式会社、一般社団法人全国地域活性化支援機構、学校法人日本航空学園が連携した「用途別飛行証明(航測)取得」コースの受講が可能です。航空測量に関する専門技術として、建設事業に関する基礎知識のほか、ドローン実機(DJI製のINSPIRE 2)による空撮エリアの自律飛行・撮影、撮影データの取込みと点群データ解析ソフト「Pix4D」を使用したデータ作成、i-constructionに対応したソフト「SiTE Scope」による出来高管理など、建設事業に必要なデータ作成の手法を一貫して学ぶことができます。

これまでは、日本航空高等学校の山梨キャンパスで開催されていましたが、希望者の増加を受け、日本航空学園専門学校の白老キャンパスでも開校することを決定しました。

航空教育のスペシャリストが指導する、実践的なカリキュラム

水野宏一 氏(公益財団法人日本航空教育協会 専務理事)
インタビューに対応いただいたJAA専務理事の水野宏一 氏

JAA専務理事の水野宏一氏は、JAAドローンスクール開校の経緯について次のように解説しました。

「現在、全国で100校以上のドローンスクールが運営されていますが、卒業生の間で習熟度に格差があると感じていました。メーカーや民間団体が運営するスクールでは、実際に飛行機の免許を所持しているような指導者の数が不足しており、指導方法や教材の統一が進んでいないためです。
国外に目を向けると、アメリカでドローンの商用利用を行う場合は連邦航空局への機体登録が義務付けられていますが、これには自家用飛行機のライセンスと同等の学習が必要となります。これは、ドローンの技術が発展することで、現在よりも長距離の飛行が可能になることを想定しているためです。日本のライセンス制度についても、技術の発展や法整備が進むとともに、より厳密な基準が設けられると考えられます。JAAには、20年以上にわたって航空業界へ人材を送り続けてきたノウハウが蓄積されており、これを活かした安全管理手法の確立や、ドローンパイロットの知識・技能を高い水準で保つため、航空業界に精通した講師による教育事業を開始しました。」

Q、国交省への申請に必要な条件を満たすだけでなく、より実践的な知識・技術の習得を目指すということでしょうか?

A、はい。自家用飛行機のライセンス取得に必要な知識を踏まえた内容となるためボリュームは増えますが、その負担は教え方を工夫することで軽減できると考えています。また、ドローンを飛ばすことをゴールとするのではなく、航空測量など実際の業務に必要な技術を習得することで、新たな雇用を創出する目的があります。現在、JAA傘下のスクールを47都道府県に1校ずつ開設することを計画しており、テキストの内容や実技試験の手順、合格基準について見直しを進めています。

Q、他社のスクールと比較して、どのような差別化が図られていますか?

A、JAAでは「航空業教育としてのドローンスクール」を目指しており、コンセプトの段階から大きな違いがあると考えています。例えば、我々が作成したテキストには、航空機の安全管理に用いられる「管理簿(ログブック)」の手法が導入されています。ドローンの場合は、パイロットごとのフライト記録や、バッテリーの使用時間などを記載しており、劣化している部品の交換時期を知ることなどに役立ちます。このように、航空教育の現場で培われたノウハウを学ぶことで正しい知識や安全管理の基準を学習できます。また、自家用コースではモーターグライダーへの試乗をカリキュラムに導入しています。これはドローンを飛ばすだけでなく、実際の飛行機で150mという高度を体感することで安全に関するリテラシーを向上させるという目的があります。

Q、白老キャンパス以外でもドローンスクールの開校を予定していますか?

A、現在、雨天の際に学校敷地内の体育館やホールを実習に利用しており、これから開校するスクールについても屋内練習場の確保を前提条件としています。本校のインストラクターと協議しましたが、高さ5m、10m四方のスペースがあれば屋内でもドローンの飛行が可能です。今後は、石川県の向陽台キャンパスにもドローンスクールを開校し、日本航空学園全体でドローンに関する学科の開設も予定しています。また、サテライトキャンパスとして長野県、長崎県の自治体からも打診を受けています。

発展を続けるドローン産業、JAAが担う役割とは

水野氏は最後に、「白老町のドローンスクールは、地域活性化などの目的から自治体による支援を得ています。今後は、ドローンに関係する産官学連携の事業を展開していく予定で、北海道新聞社とはドローンによる空撮が可能なカメラマンを育成するプロジェクトが進んでいます。このように、ドローン産業における最先端の教育機関であり続けることも、JAAの目的の一つといえます。また、学校法人としての日本航空学園が目指す”若者のキャリア教育”にも注力し、ドローンを活用した事業創造や起業家の育成にも力を入れていく方針です。」と、締めくくりました。

JAAは今後、空撮、農薬散布、構造物の検査、運搬など、産業界のニーズに応じて用途別飛行証明コースを増設するとのことです。JAAドローンスクールの展開により、高度な知識・技能を持つパイロットの育成が進むだけでなく、ドローンによる新たなビジネスの創出にも期待が高まります。

 

■問い合わせ先

・公益財団法人日本航空教育協会「JAAドローンスクール」
TEL:0551-28-7651
Email:info@jaazaidan.or.jp
URL:https://www.jaeazaidan.org/blank-3