「国際ドローン展」視察レポート!経営改革・事業改善を実現する、超・実用的ドローンの展示会

4月17日(水)~19日(金)の3日間 、千葉県・幕張メッセで開催された「国際ドローン展」。今回は、こちらに視察に行ってきた模様をレポートします。

産業ドローンの「現在地」がわかる総合展示会

今回で5回目を数える「国際ドローン展」。出展社数30社/46ブース、来場者数6,000名※を見込むなど、以前当メディアでレポートした「Japan Drone 2019」に比べると若干小粒な感があるものの、より産業用ドローンの輪郭がくっきりと浮き出ている印象でした。 ※予定数

それもそのはず、国際ドローン展の主催は日本能率協会。ご存知の方も多いかと思いますが、企業、団体等の経営革新を第一義とする一般社団法人です。そうしたこともあって、測量、インフラ点検、建築、農業といった分野において、実際に利用が始まっているドローンソリューションを中心に、産業用ドローンの「現在地」を確認することができました。

産業用ドローンは「精度向上」「利用普及・浸透促進」のフェーズへ

産業用ドローンの最大のメリットは、何と言ってもやはり「人手を省くことができる」点。人が赴くのが困難な場所でも問題なく作業ができる、ということで、上空からの撮影や高所における点検、水中での監視等の作業に対し、ドローンを導入する検討が進んでいます。今回の「国際ドローン展」視察を通じ、産業分野におけるドローンの活用は、これまでの単なる「応用領域模索のための実験」という段階からさらに一歩進んで、現在は「ドローン活用によりいかに作業の精度を上げるか」「いかにドローン利用を普及・浸透させるか」という段階に来ているように感じました。

例えば、「±3センチメートル精度の測位情報の取得が可能」というソリューションを展示していたSkyLink Japan。こちらの高精度測位システム「KLAU PPK」は、KLAU Geomatics社(本社:豪)の同名ソリューションの日本仕様で、ドローンに搭載する「KLAU PPK Unit」と、取得データを後処理補正するためのソフト「KLAU PPK-J Desktop」により、精度の高い測量を実現するものです。今回、同社ブースにはDJI Matrice 600 Proが展示されていましたが、KLAU PPK UnitはDJI製ドローンを始めとしたあらゆる汎用型ドローンに搭載が可能とのこと。また、KLAU PPK-J Desktopによる補正処理は、データ取得後にオフィスにおいて後処理する「PPK※」というしくみを採用しているため、現場での携帯接続環境の確保が不要という点もメリットとのことです。

※PPK=Post Processing Kinematics;電子基準点からの補正処理を、データ取得後に行う方式。電子基準点とは、地形・地殻変動観測のため地上に設置された観測点で、全国約1,300ヶ所に存在する

もう一つ印象的だったのが、エンルートが発表していた農業用ドローン「AC1500」。エンルートが火災現場向けに開発した300℃耐火型ドローンは当メディア記事でもご紹介しましたが、このAC1500は農薬散布用ドローン。しかも、実際に使用する農家の声を受け、大幅な軽量化や小型化に成功したものです。

AC1500は、農家の方々がおもに軽トラックで移動することを踏まえ、軽トラックに積み込みが可能なようドローンの腕を折り畳み可能にした点がポイントの一つとのこと。実際に折り畳む様子を見せていただきましたが、プロペラとアームを畳むと「70センチメートルくらい」のコンパクトさを実現、軽トラックへの積み込みも余裕だそう。
また、従来型の農薬散布ではヘリが使われるケースが多いようですが、こちらのAC1500、機体重量を比較すると農薬タンクが空の状態であれば総重量が25kg程度に収まるのだとか。一方のヘリは総重量が100kgくらいになる場合が多いことから、農家の高齢化・人手不足を考慮した際、一人でもラクラク持ち運べる点も訴求ポイントだとのことです。

ドローンが産業分野においてすでに欠かせない存在になりつつある状況を垣間見ることができた、今回の国際ドローン展。本文でご紹介しきれなかったユニークなドローンソリューションを、また別の記事でご紹介する予定ですので、どうぞお楽しみに!