小学校で「ドローン&プログラム体験会」開催 参加レポート

先日の2019年6月8日、東京都八王子市にある 由木西小学校 にて、『「災害救助」をドローンプログラミングで体験しよう!』というテーマでドローン&プログラム体験会が開催されました。

主催はデジタルハリウッド株式会社、後日J:COMのTV番組でも取り上げられました。

由木西小学校で開催される小学生向けのドローン体験会は、今回で4回目です。
私は今回合わせて3回運営側として参加させていただき、今回は僭越ながらMCを務めさせていただきました。

その経験を踏まえ、今回は単発のイベント報告ではなく、昨年度からの流れも踏まえて感じたことを、このレポートでお伝えしたいと思います。

今回の体験会の流れ

まずはどんなことが当日行われたのか、全体の流れをご紹介します。
タイムスケジュールはこんな感じでした。

  1. 校長先生のお話
  2. デモ①(MavicAirを使った自動追尾、ジェスチャーコントロール)
  3. 災害救助と薬を運ぶドローンの話
  4. デモ②(TELLO EDU をアプリを使って制御する方法)
  5. チームに分かれて体験&課題に挑戦 (30分~40分程度)
    (子供たちの保護者は、ドローンの基礎講座を受講)
  6. まとめ
  7. 記念撮影

10:00から始まり11:30には終わりましたが、あっという間の1時間半でした。

デモ①の時間では、Mavic Air による自動追尾とジェスチャーコントロールのデモでした。
「人がコントローラーをもって操縦していなくても、自動で判断して飛んでいる。それはプログラムが入っているからなんだよ。」ということを理解できるような流れでした。
(正確には、「要件に沿うよう設計しプログラミングされたソフトウェアがハードウェアを制御している」のですが、話が長くなるので「プログラムが入っているから自動で動く」という簡潔な説明に留めました。)

<図1:自動追尾>  <図2:ジェスチャーコントロール>

 

そして、災害時には医療物資が不足する、という社会的な課題について話をしました。

例えば、災害時には孤立してしまった人々に医療物資が不足することもあること、薬や血液といった軽量・小型で緊急を要するものは小型の無人航空機で輸送する取り組みが進んでいることを話しました。
ドローンで医療物資を運ぶ事例として、アフリカ・ルワンダでの「Zipine」の取り組みなど、いくつかの例を紹介しました。

ツールを説明するのではなく、プログラミングを学ぶことが社会にどう役立つのか、といった視点で理解できるような流れを意識しました。

そして、「プログラムを作って、ドローンで薬を運ぶ」という課題を子供たちに挑戦してもらいました。

薬を届ける先の例として、「山の中で困っている人に薬を届ける」としましたが、そのほかの状況も考えながら課題に挑戦してほしいと伝えました。

この課題は、今回サポーター側で全体の企画を考えた石井さんが、「ドローンエンジニアお茶会」というエンジニアの集まりの中で何人ものエンジニアと検証を繰り返しながら開発した課題です。

その「ドローンエンジニアお茶会」の主催者である我田さんが、実際にiPadとTELLO EDU を使って「離陸する」「前に進む」「着陸する」といった基本的なプログラミング方法をデモしました。

<図3:課題>  <図4:課題のデモ>

 

そのあとは5つのチームにわかれて、5人のサポーターの方々が子供たちと一緒になってiPadのアプリを使ってプログラムの作り方の基本を覚えながら、「薬を運ぶ」課題に挑戦しました。

低学年の子供も多く、まだ難しいかな?とも思いましたが、最後には全員1回ずつ「薬を運ぶ」ことに成功していました。

中には、なかなか着陸しないドローンを強制着陸させるために、そこにあるプログラムを全部削除して、着陸ブロックだけを実行して着陸させる、ということを自分で考えて対処した子供もいて、びっくりしました。

子供たちの呑み込みの速さに、サポーター一同驚くばかりです。

<図5:チームごとに課題に挑戦>

 

最後にまとめの時間では、「薬をどこに運ぶことを考えたか?」と聞いてみたところ、「砂漠の中で倒れている人に運ぶ」というユニークなことを発言してくれた子供がいました。

最後に校長先生から、未来の社会がどれだけワクワクするものなのかを力説して頂き、記念撮影をして解散となりました。

解散後も、今回使ったドローンがどこで買えるのか?真剣に相談していた父親の姿もあり、子供も大人も、そして何より運営側のサポーターにとっても有意義な時間でした。

多くの関係者に支えられて成り立ったイベントでした。

<図6:スタッフロール>  <図7:記念写真>

 

なぜ由木西小学校とデジハリなのか?

さて、ここまでは「イベント体験記」なのですが、せっかく過去数回参加させていただいたので、「そもそもなぜ?」という話を少し紹介したいと思います。

発端は、2018年2月に八王子市とデジタルハリウッド株式会社が、「ドローンの活用に向けた人材育成に関する協定」を結んだことから始まっています。

リンク先のリリースには「具体的な取り組み内容」も書かれており、この協定により「市職員によるドローン操縦チームの養成」「ドローンの活用に係る次世代育成」「ドローンの活用分野に関する調査・研究」を実施するとあります。

その中での、「ドローンの活用に係る次世代育成」に当たるのが、今回の体験会という位置づけということですね。

ドローンが活用される未来を見据えた、大きな戦略のなかの1つとして、今回の体験会があったということがわかります。

尚、デジタルハリウッドの学長である杉山氏が、八王子市との提携についてのインタビューを受けていて、FINDERSというサイトに詳しく書かれています。

トップが何をビジョンとして掲げ、どのように考えているか、垣間見ることができますので、一読をお勧めします。

これまでどのようなことをしてきたのか?

そのような流れのなかで、八王子市にある由木西小学校が選ばれ、今回を含めて過去4回にわたってドローン体験会が行われました。

第1回目:2018年 5月17日 Manbo (Parrot社製) を使って操縦を体験
第2回目:2018年 7月 7日 Manbo (Parrot社製) と Mavic Air を使って2通りの操縦を体験
第3回目:2019年 1月12日 PCのScratchでプログラムを組んでTELLO (DJI社製) を動かす体験
・第4回目:2019年 6月 8日 課題を解決するため iPadのアプリでプログラムを組んでTELLO EDU (DJI社製) を動かす体験 ※今回

体験会の企画はデジタルハリウッド株式会社、そして現場で指揮をとるのは株式会社ドローンエモーションの代表田口氏。
ドローンスクールで400名以上の卒業生を輩出している田口氏は、そのネットワークを生かして卒業生のなかから運営への参加者を募り、時には自ら企画運営するよう指導も行います。

「参加して終わり」「前回と同じことをして終わり」というマンネリになることなく、常に新しいことに挑戦し、卒業生にとっては挑戦の場・学びの場となるよう、毎回指導をされています。
毎回、やっている内容も、目的も、レベルアップしていっています。

参加することで「楽しかった」だけではなく「勉強になった」ということがわかるから、運営をサポートするメンバーも集まってくるのだと思います。

そもそも、なぜ「ドローンでプログラミング」なのか?

ところで、なぜプログラミングがこんなにも注目を浴びているのでしょうか?
それには、「学習指導要領の改訂」という、10年に一度といわれる大きな世の中の変化が関係していました。

小学校は来年(2020年)から、中学校は再来年(2021年)から、高校は3年後(2022年)から全面実施となります。
わかりやすい図が、政府広報オンラインの「2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!」というペーに載っていましたので、そちらもご覧ください。

<図8:新しい学習指導要領のスケジュール(政府広報サイトより)>

 

小学校で「プログラミング教育」が必須化され、その題材としてアプリやロボットなどがあります。
その中で、子供たちの興味を引き付けやすい「ドローン」も注目されている、というのが現在の状況と言っていいでしょう。

つい先日DJI社より新製品「ROBOMASTER S1」が発表されましたが、それもこのことが関係していると考えて良いと思います。

まとめ

長くなりましたが、今回のまとめです。

・八王子市にある由木西小学校では、昨年から定期的にドローン体験会が行われている
・八王子市とデジタルハリウッド株式会社との、未来を見据えた大きな戦略の中に今回の体験会が位置付けられている
・来年から学習指導要領の改訂が行われ、小学校は来年から全面実施という「待ったなし」の状況である
・プログラミング教育の教材として、アプリやロボット、そしてドローンが注目されている

今回の体験会に参加した子供たちが大人になる頃には、きっとドローンが重要な社会インフラとして機能していることでしょう。

とても楽しみです。

<参考ページ>
『八王子市立由木西小学校にて小学生向けドローン体験会を実施』(2018年5月17日開催), デジタルハリウッドロボティクスアカデミー
『由木西小学校ドローン体験講座第2弾を実施』(2018年7月7日開催), デジタルハリウッドロボティクスアカデミー
『小学生向けドローン操縦&プログラミング体験会を実施!』(2019年1月12日開催), デジタルハリウッドロボティクスアカデミー
『ドローンの活用に向けた人材育成に関する協定を締結』(2018年2月16日), 八王子市
『映像の未来、地域との連携。ドローンの飛ぶ先に未来がある。【連載】デジハリ杉山学長のデジタル・ジャーニー(6)』, FINDERS
『2020年度、子供の学びが進化します!新しい学習指導要領、スタート!』(2019年3月13日), 政府広報オンライン
『小学校プログラミング教育に関する研修教材』, 文部科学省

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Takayama
高山誠一/高山ドローンリサーチ株式会社 代表。無人移動体に関する人材育成・コンサルティング・研究開発・安全管理を行う。 2013年 SIer(システムインテグレータ)に入社、SEとして複数の企業システムの安定稼働を支える。 2008年 航空測量会社に入社、主に自治体向けのシステム構築の傍、AWSをいち早く取り入れ可用性向上の基礎を作る。UAV測量の技師として測量業務にも従事、UAV測量講習の講師としても関東を中心に全国で講義を行った。 ドローンが空だけでなく陸海空で活躍する社会インフラとなり産業として発展することを願い、「TDR (Takayama Drone Research)」というFacebookページを個人の活動として2018年10月より開始、会社設立後の現在も毎日更新中。  JUIDA認定講師、DJIスペシャリスト、技術士(情報工学部門)、MOT(技術経営学)、測量士、第三級陸上特殊無線技師、第四級アマチュア無線技師。