DJI JAPANとシンジェンタジャパンが農業ドローンの実現に向けて連携

 DJI JAPAN 株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:呉 韜(ご とう)、以下DJI JAPAN)と、農業関連産業のリーディングカンパニーであるシンジェンタジャパン株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:的場 稔、以下シンジェンタジャパン)は、日本の農業の持続的な発展に両社で貢献していくことを念頭に、業務提携に向けて覚書を締結したと発表しました。

 現在、日本の農業は多くの問題を抱えています。その中でも農業従事者の減少、人手不足の解消は大変重要な課題の一つです。国も補助金等で新規参入者の後押しをしておりますが、厳しいのが現状です。 

 そんな中、民生用ドローンと空撮技術で世界をリードするDJIと、世界の食料安全保障の向上に貢献し、劣化した土地の回復、生物多様性の促進、および農村地域社会の活性化に向けて活動してきたシンジェンタジャパンの今回の発表は、農業が抱える課題解決の糸口となるかもしれません。

安心・安全な農業ドローンへ向けて

 農業分野におけるドローンの普及が加速する一方で、更なるドローンの安全な運用が求められており、両社は「農業ドローンと農薬の安心・安全」実現に向け、以下の点で連携することを合意したとのことです。 

<連携内容について>

1)農業ドローンによる安全な薬剤散布技術と教育カリキュラムの確立

2)散布実証試験の共同実施

3)共同プロモーション活動の実施

4)市場の開拓と新規ビジネスモデルの構築

5)スマート農業への共同技術開発 

農業従事者不足の解決の糸口となるか

 日本の農業は、少子高齢化による人手不足や新規就農者の獲得など深刻な労働力不足に直面しています。この課題を解決するために、政府の規制改革推進会議はドローンを活用した農薬散布の規制を緩和し、また、農林水産省はドローン散布に使用できる農薬の範囲拡大などを進めています。

 シンジェンタジャパンはユーザーが常に「より高品質でより安全な農作物」を求めているニーズに応えるために、世界規模で開発した安全で効果の高い化合物の中から日本の栽培環境に適した農薬を製品化するとともに、日本のマーケットに的を絞った付加価値の高い野菜・畑作物の種子を提供してきました。シンジェンタジャパンはこれまでの活動経験を活かし、「農業ドローンと農薬の安心・安全」の実現へ向けて動き出しました。

 シンジェンタジャパンの代表取締役社長 的場 稔氏は、「DJI JAPANの高性能な農業ドローンは農業分野のみならずゴルフ場等の非食用作物分野においても幅広い活用が期待されている。この連携によって、安全・安心かつ効果的なドローンの散布技術の確立を目指すと共に、リモートセンシングなどスマート農業分野にも積極的に取り組んでいきたい」と、コメントしています。

 DJI JAPAN 代表取締役の呉 韜は、「農業ドローンにおいて、最も優先すべきことは、安心・安全。DJIは、2017年3月より農業ドローンの販売を日本で開始し、積極的に整備工場や教育施設などの整備を進めてきた。農薬を使う散布では、農薬メーカーとの協力は不可欠。農薬業界最大手のシンジェンタとDJIのノウハウを活かし、日本、そして世界に安心・安全、そして持続可能な農業ドローンソリューションを提供していきたい」と、農業分野へのドローン利活用の促進への意欲を語っています。

 DJIはこれまでにも、農薬散布ドローンの活動をしております。詳しくは関連記事をご覧ください。

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 少子高齢化や後継者不足等の人手不足など今後の日本の農業にとって労働不足問題は深刻な課題の一つです。農業の未来にとってドローンによる農薬散布はそんな問題解決の一つの糸口となるでしょう。しかしながら、より安心・安全な農業、「食」は人が健康的に生きる上で大変重要な問題です。ドローンによる効率化や技術革新におごることなく、人として大切な「食」の安心・安全を忘れずに農業の発展に貢献していってほしいと思います。